喪中・忌中

喪中に書き初めはしていい?宿題で「迎春」など祝う言葉を書くときの判断と先生への相談を解説

木田健太郎

家族を亡くした年の冬休み、子どもが書き初めの宿題を持って帰ってきた。書き初めはお正月の行事だけれど、喪中に書いてもいいのだろうか。課題の言葉が「新春」や「迎春」だったら、そのまま書かせていいのだろうか——。そんなふうに迷う方は少なくありません。

結論をお伝えします。喪中に書き初めをしてはいけないという決まりはありません。特に学校の冬休みの宿題としての書き初めは、国語の「書写」の学習なので、喪中でもふだんどおり取り組んでよいという考え方が一般的です。

気にかけたいのは、行事そのものよりも「書く言葉」です。家庭で自由に言葉を選べるなら、「迎春」「賀正」「おめでとう」のような新年を祝う言葉は避け、目標や季節の言葉にすると安心です。学校が課題の言葉を決めている場合は、そのまま書いてよいと考える人が多く、どうしても気になるときは担任の先生に相談してみてください。亡くなって間もない忌中(仏式は四十九日、神式は五十日祭まで)に年末年始が重なるときは、家庭の書き初めは控えめにし、宿題は無理のない範囲で取り組みましょう。

この記事では、次のことがわかります。

  • 書き初めは喪中に控える「お祝い」に入るのか
  • 冬休みの宿題の書き初めはどうするか、課題の言葉が気になるときの考え方
  • 避けた方が安心な言葉と、気にせず書ける言葉
  • 先生に相談するときの伝え方(例文つき)
  • 家庭での書き初めと、忌中に冬休みを迎えるときの注意点

結論:喪中の書き初めの早見表

場面 喪中(忌明け後) 忌中のとき
冬休みの宿題の書き初め ふだんどおり取り組んでよい 練習として無理のない範囲で。間に合わなければ先生に相談
課題の言葉が「新春」「迎春」などに決まっている そのまま書いてよいと考える人が多い 気になるなら先生に相談
家庭で行う書き初め(言葉を自由に選べる) してよい。祝う言葉は避ける 控えるか、日をずらして静かに
学校の書き初め大会・席書き会 参加してよい 忌引き中なら無理に出なくてよい。学校に相談
展覧会への出品・入賞 出品・受賞してよい 学校と相談して決める
作品を部屋に飾る 目標の言葉なら飾ってよい。祝う言葉の作品は目立つ場所を避ける 祝う言葉の作品は飾るのを控える
どんど焼き(左義長)で燃やす 参加してよいとされることが多い 神社の行事なら控える

喪中の書き初めについて、法律や公的な決まりはなく、表は一般的な考え方です。学校の宿題の扱いは学校ごとに違います。

書き初めは喪中に控える「お祝い」に入る?

書き初めはもともと「新年に初めて筆をとる」行事

書き初めは、新年になって初めて毛筆で文字を書くことで、昔から1月2日に行われてきました。「吉書初(きっしょはじめ)」「筆始(ふではじめ)」「試筆」とも呼ばれます。辞典の説明によると、「吉書」は平安時代以来、公家や武家で行われてきた儀礼で、江戸時代には寺子屋が広まるとともに民間の行事にもなりました。若水(元日の朝にくむ水)で墨をすり、その年の恵方を向いて書き、小正月のどんど焼き(左義長)の火で燃やして、燃えかけた紙が高く上がると字が上手になると喜んだそうです(コトバンク「書初め」(日本大百科全書ほか))。

つまり書き初めには、「めでたい言葉を書いて新年を祝う」という面と、「一年の最初に筆をとって上達を願う、稽古始め」という面の両方があります。明治以降は学校での習字教育も、書き初めが広く行われるようになったことに関わっていると考えられています(同上、世界大百科事典)。

「昔からの書き初め」と「学校の書き初め」の違い

昔からの書き初め(家の行事) 学校の書き初め(冬休みの宿題)
目的 新年を祝い、一年の幸せや上達を願う 毛筆で文字を正しく整えて書く練習
書く言葉 めでたい言葉や詩歌など 学校の課題か、自分の目標
行う日 1月2日に行うことが多い 冬休み中(提出は3学期の初め)
その後 小正月のどんど焼きで燃やす 提出・校内の展示・展覧会など
喪中のとき 祝う言葉を避け、控えめに ふだんどおり取り組んでよいという考え方が一般的
由来はコトバンク(日本大百科全書・世界大百科事典)をもとに整理。喪中の扱いに公式の決まりはありません

喪中に控えるとされるのは「新年を祝うこと」

喪中に控えるとされているのは、新年を祝う行事や挨拶です。日本郵便の解説では、喪中は年賀の挨拶や年賀状を慎み、門松やしめ縄などの正月飾り、鏡餅、おせち料理の用意も控えるとされています。また、現在は喪に服する期間を定める法律はなく、考え方は地域や家庭によって違うとされています(日本郵便(郵便局のプリントサービス)の解説)。喪中のお正月の過ごし方全体は、喪中の正月はどう過ごす?でまとめています。

書き初めについては、してはいけないという決まりは見当たりません。控えるかどうかは、「祝う形・祝う言葉になるかどうか」で考えると整理しやすいでしょう。一年の目標を静かに書くのであれば、お祝いとは受け止められにくいというのが一般的な考え方です。

学校の書き初めは「書写の学習」

小学校の学習指導要領では、毛筆を使う書写の指導は第3学年以上の各学年で行うとされています(文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)』)。冬休みの書き初めの宿題は、こうした書写の学習の延長として出されることが多いものです。

家の行事としてお正月を祝うのとは目的が違うため、宿題の書き初めは喪中でもふだんどおり取り組んでよいと考えられています。

冬休みの宿題の書き初めはどうする?

宿題は喪中でもふだんどおり取り組んでよい

子どもにとって書き初めの宿題は学習のひとつです。喪中だからと出さずにいると、困るのは子ども自身です。親が迷っている様子を見せるより、「宿題だから、いつもどおり丁寧に書こうね」と声をかけてあげるとよいでしょう。

そもそも子どもも喪中になるのか、どの続柄なら喪中と考えるのかについては、喪中に子どもが友達へ年賀状を出していい?で説明しています。

課題が「新春」「迎春」のような言葉のとき

学校が決めた課題の言葉は、学年に合った字形や筆づかいを練習するためのお手本の言葉です。「新春」「迎春」のような言葉でも、そのまま書いてよいと考える人が多いです。

祖父母など家族の中に気にする人がいる場合も、「学校の課題で決まっている言葉だから」と説明すれば、理解してもらえることが多いでしょう。それでも気になるときは、担任の先生に相談してみてください(相談の仕方は後で紹介します)。

自分で言葉を選べる宿題のとき

課題の言葉を学校が決めるか、子どもが自分の目標などから選ぶかは、学校によって違います。自分で選べる場合は、新年を祝う言葉を避けて、目標や季節を表す言葉にすると安心です(次の章で言葉の例を紹介します)。

亡くなった家族を思って「感謝」「ありがとう」などの言葉を選ぶのも、ひとつの方法です。ただ、書き初めは子どもの学習なので、子どもが書きたい言葉を大切にし、無理に故人と結びつけなくてかまいません。

書く言葉の選び方

避けた方が安心な言葉

家庭で自由に言葉を選べるときは、新年を祝うことそのものを表す言葉は避けておくと安心です。

  • 迎春・賀正・謹賀新年
  • 寿・祝
  • おめでとう・あけましておめでとう

喪中の年賀状や新年の挨拶で使わないとされる言葉と、同じ考え方です。

気にせず書ける言葉

  • 目標・心がけ:努力、挑戦、夢、希望、感謝、やさしい心 など
  • 季節・自然:冬の朝、雪、白い山、春を待つ など

目標の言葉は、一年の初めに気持ちを新たにするという書き初めのもうひとつの意味にも合っています。

迷いやすい言葉(「新年」「新春」「初日の出」)

「新年」「新春」「初春」「初日の出」は、季節や時期を表す言葉でもあります。「迎春」「賀正」のように祝うことそのものを表す言葉に比べると、祝いの意味は弱いと受け止められることが多いです。学校の課題であればそのまま書いてよいでしょう。家庭で選ぶ場合は、気になるなら別の言葉にしておくと迷わずに済みます。

書き初めの言葉 3つのグループ

家庭で自由に選ぶときは避けた方が安心(新年を祝う意味が強い)
  • 迎春
  • 賀正
  • 謹賀新年
  • 寿
  • 祝
  • おめでとう
迷いやすい言葉(学校の課題ならそのままでよい)
  • 新年
  • 新春
  • 初春
  • 初日の出
気にせず書ける(目標や季節の言葉)
  • 努力
  • 挑戦
  • 希望
  • 感謝
  • 冬の朝
  • 春を待つ
喪中に書く言葉の決まりはなく、一般的な考え方として分けています。学校の課題で決まっている言葉は、迎春などでもそのまま書いてよいと考える人が多いです。地域や家によって受け止め方は違います

先生に伝える?伝えるならどう伝える?

伝えなくてもよい場合

忌明け後で、課題どおりに書いて期限までに提出できるなら、喪中であることを特に先生に伝えなくてもかまいません。

相談した方がよい場合

  • 課題の言葉がどうしても気になる
  • 忌引きで休んでいて、書き初め用紙やお手本を受け取れていない
  • 葬儀や法要と重なって、提出期限に間に合いそうにない
  • 書き初め大会(席書き会)や展覧会への参加をどうするか迷っている

言葉を変えてよいか、提出を遅らせてよいかなどの対応は、学校によって違います。「変えてください」とお願いするより、「できるかどうか」を尋ねる形にすると、先生も答えやすくなります。

伝え方の例文

連絡帳や学校のメール、電話で伝えるときの例です。子どもの学校行事について先生に連絡するときの考え方は、喪中・忌中に子どもの発表会は出ていい?でも紹介しています。

課題の言葉について相談する

いつもお世話になっております。○年○組○○の母です。
私事で恐縮ですが、○月に祖父が亡くなり、今年は喪中となっております。冬休みの書き初めの課題について、言葉を変えて書いてもよいかご相談させていただけますでしょうか。もちろん課題どおりでも差し支えありませんので、ご指示いただければ幸いです。

葬儀や法要で提出が遅れそうなとき

いつもお世話になっております。○年○組○○の父です。
年末に祖母が亡くなり、冬休み中は葬儀や法要で慌ただしく、書き初めの宿題が始業式に間に合わないかもしれません。提出が少し遅れてもよいか、ご相談させてください。

書き初め大会・展覧会の参加を相談する

いつもお世話になっております。○年○組○○の母です。
先日祖父が亡くなり、現在忌中のため、○日の書き初め大会への参加について迷っております。本人は参加したい気持ちもあるようですので、どのようにすればよいかご相談させていただけますでしょうか。

家庭での書き初めはどうする?

喪中なら、静かに「一年の目標を書く日」として

毎年お正月に家族で書き初めをしている家もあるでしょう。喪中の年も、祝う言葉を避けて、家族それぞれが一年の目標を書く形であれば、続けてよいという考え方が多いです。お正月らしく大きく飾り立てたり、「おめでとう」と声をかけ合ったりするのは控え、いつもより静かに行うと安心です。

書いた作品を飾るとき

目標を書いた作品なら、勉強机のまわりなどに飾ってかまいません。喪中は正月飾りを控えるとされているため(日本郵便(郵便局のプリントサービス)の解説)、「迎春」などの祝う言葉を書いた作品は、喪中の年は玄関や居間など目立つ場所に飾るのは避けておくと安心です。

習字教室の書き初め会・競書

習字教室の書き初め会や競書への出品は、教室の稽古のひとつです。喪中でも参加してよいと考える人が多いです。忌中で気になる場合や、日程が法要と重なる場合は、教室の先生に相談してください。

忌中に冬休みを迎えるときは

忌中は喪中より一段控える

仏式では四十九日法要をもって忌明けとすることが多く(天台宗「葬儀と供養について」)、神道では地域に慣例がなければ五十日祭までを「忌」、一年祭までを「服」とするのが一般的とされています(神社本庁「服忌について」)。神社本庁の解説では、江戸時代の服忌令では親等が離れるほど期間が短くなっていたと紹介されています。今の忌の日数は地域や神社によって違うので、気になるときは神社に確認してください。年末に家族を亡くした場合など、忌中のうちに年末年始を迎えることもあります。

忌中は喪中よりもさらに慎む期間と考えられているため、1月2日に家族そろって書き初めをするといった家庭の行事は、控えるか、忌明け後に日をずらして静かに行うとよいでしょう。忌中の年末年始の過ごし方は、喪中の正月の記事の「お正月が忌中にあたる場合」も参考にしてください。

宿題は練習として取り組み、無理なら先生に相談

宿題は、子どもの学習として取り組んでかまいません。ただ、葬儀や法要で冬休みが慌ただしいときは、無理をさせる必要はありません。身内が亡くなって学校を休んだ日は「忌引き」として扱われ、文部科学省が示す指導要録の記載事項でも、忌引の日数は出席しなければならない日数から差し引かれます(文部科学省「小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等」)。忌引きの日数や、その間の宿題の扱いは学校・自治体によって違うので、提出が難しいときは先生に相談しましょう。

どんど焼き(左義長)に書き初めを持っていくのは控える

書き初めを燃やすどんど焼きは、神社で行われることが多い行事です。神社本庁は、「忌」の期間中は神社への参拝を遠慮するとしています(神社本庁「服忌について」)。日本郵便の解説でも、とくに忌明けまでは神社への参拝を慎むとされています(日本郵便(郵便局のプリントサービス)の解説)。忌中は、神社のどんど焼きに書き初めを持っていくのは控えるのが無難です。

忌明け後であれば参加してよいとされることが多いですが、どんど焼きはお寺や自治会が主催することもある地域の行事です。気になる場合は、主催する神社や自治会に確認してください。神社へのお参りの考え方は、忌中と喪中で初詣に行くルールはどう違うか?で詳しく解説しています。

書き初め大会・展覧会の表彰式

忌引き中に書き初め大会や表彰式の日が重なった場合は、無理に出なくてかまいません。参加の仕方や、賞状の受け取り方などは学校によって違うので、先生と相談して決めましょう。

よくある疑問

浄土真宗や神道の家だと考え方は違う?

浄土真宗では、死を穢れ(けがれ)とは考えず、忌中・喪中を特に設けない考え方があると説明されることが多いです。たとえば真宗大谷派は、清め塩や友引を気にすることについて「迷信にすぎません」と説明しています(真宗大谷派「葬儀・法事・お墓」)。神道では、慣例がなければ五十日祭までが忌とされています(神社本庁「服忌について」)。家の宗派での考え方が気になるときは、菩提寺や氏神様の神社に確かめてみてください。

祖父母の家で「今年は書き初めはやめておきなさい」と言われたら?

家や地域によっては、書き初めをお正月のお祝いと受け止める人もいます。その気持ちは尊重しつつ、学校の宿題については「学習の課題なので提出しないといけない」と事情を説明してみましょう。それでも気になるようなら、先生に相談して言葉を変えてよいか確かめるなど、言い争いにならない形を選ぶのがおすすめです。

喪中の年に書き初めで入賞したら、喜んでいい?

子どもが頑張った結果なので、家族で認めてあげてかまいません。ただ、親戚に大きく知らせたり、SNSで盛大にお祝いしたりするのは、喪中の年は控えめにしておくという考え方もあります。

中学生・高校生が自分で迷っているときは?

中学生・高校生になると、子ども自身が「喪中なのに書いていいのかな」と気にすることもあります。宿題は学習なので取り組んでよいこと、言葉を選べるなら目標の言葉にすれば安心なことを伝え、迷うなら一緒に先生に相談しようと声をかけてあげるとよいでしょう。

まとめ

喪中の書き初めについて、ポイントを整理します。

  • 決まりはない:喪中に書き初めをしてはいけないという決まりはない
  • 冬休みの宿題は書写の学習:喪中でもふだんどおり取り組んでよいという考え方が一般的
  • 言葉を選べるなら:「迎春」「賀正」など祝う言葉は避け、目標や季節の言葉に
  • 迷ったら先生に相談:課題の言葉が気になる・提出が難しいときは担任の先生へ。対応は学校ごとに違う
  • 忌中のときは:家庭の書き初めは控えめにし、どんど焼きなど神社の行事は忌明け後に

喪中の書き初めには、はっきりした決まりがありません。だからこそ、「どうしたら失礼にならないか」より、「子どもが落ち着いて一年の最初の筆をとれるか」を大切にして、家族で話して決めればそれで十分です。迷うことがあれば、一人で抱えずに先生や家族に相談してみてください。

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義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
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