喪中・忌中

喪中・忌中に酉の市へ行っていい?熊手の買い替えと古い熊手の納め方、手締めの判断を解説

木田健太郎

毎年11月の酉の市で熊手を買い替えている。けれど今年は家族を亡くしたばかりで、「今年も行っていいのだろうか」「家にある去年の熊手はどうしよう」と迷っている。お店や会社を営んでいる家なら、商売の熊手を一年飛ばしてよいのかも気になるところです。

結論をお伝えします。喪中・忌中に酉の市や熊手を控えなければいけないという決まりはありません。目安になるのは神道の「忌(き)」の考え方で、神社の酉の市は忌中(一般に五十日祭まで)は控え、忌明け後の喪中は参拝してよいとする考え方が多いです。熊手の買い替えは、例年どおり受ける家も、控えめにする家もあり、決まりはありません。忌中に酉の日が重なったら、無理に行かず、今の熊手を来年までそのまま飾る、忌中でない家族や社員に頼む、お寺の酉の市で受ける、のどれかで考えると落ち着きます。迷うときは、家族で話したうえで参拝先の神社・お寺に確かめるのがいちばん確実です。

この記事では、次のことがわかります。

  • 喪中・忌中に酉の市へ行ってよいかの考え方
  • 忌中に酉の日が重なったときの3つの方法
  • 忌明け後の熊手の買い替え、大きさ、手締め、ご祝儀
  • 古い熊手の納め方と、新しい熊手を飾る時期
  • 会社・お店の熊手の扱い

結論:喪中・忌中の酉の市と熊手の早見表

こと 忌中のとき(五十日祭まで) 喪中(忌明け後)
神社の酉の市に参拝する 控える 参拝してよいとする考え方が多い
お寺の酉の市(浅草なら長國寺)に参る 差し支えないとされることが多い(鳥居はくぐらない) 参拝してよい
熊手を買い替える 控えるか、家族・社員に頼む 例年どおり受ける家も、控えめにする家もある(決まりはない)
熊手を大きくする 見送る 今年は同じ大きさにする家も(決まりはない)
手締めをしてもらう 自分は行かないので該当しない 辞退するか、店の人に事情を伝えて相談
古い熊手を納める 忌明けまで待つか、家族に頼む 受けた神社・お寺に納める
新しい熊手を神棚に祀る 神棚封じの間は祀らない 忌明け後、神棚封じを解いてから
会社・お店の熊手 本人が忌中なら社員などが代わりに 例年どおり受ける会社も、控えめにする会社もある

※法律や公的な決まりはなく、神社本庁の「忌」の考え方をもとにした一般的な目安です。神社・お寺・地域によって考え方は違います。

酉の市と熊手は、喪中に控える「お祝い」に入る?

酉の市は神社の例祭でもあり、お寺の行事でもある

酉の市は、11月の酉の日に行われる開運・商売繁盛を願うお祭りです。浅草の鷲神社(おおとりじんじゃ)では、日本武尊(やまとたけるのみこと)が戦勝のお礼参りをした日が11月の酉の日だったことから、この日を例祭日としたのが酉の市の始まりと伝えています(鷲神社「御由緒」)。すぐ隣にある長國寺(ちょうこくじ)は法華宗のお寺で「酉の寺」と呼ばれ、鷲妙見大菩薩を祀り、こちらでも酉の市が開かれます(長國寺 公式サイト、長國寺「酉の市とは」)。起源には鷲神社の説、長國寺の説、足立区花畑の大鷲神社の説があるとされます(国立国会図書館「酉の市って?」)。

2026年(令和8年)の酉の市は、一の酉が11月7日(土)、二の酉が11月19日(木)で、三の酉はありません(鷲神社「今年の酉の市」、長國寺 公式サイト)。酉の日は12日おきにめぐってくるため、年によって2回の年と3回の年があります。鷲神社は、どの酉にお参りしてもご利益は変わらないと案内しています(鷲神社「酉の市豆知識」)。浅草以外の酉の市の日時は、各神社・お寺で確かめてください。

熊手は「福をかき込む」縁起物

熊手は、運や金銀をかき集める縁起物とされてきました。鷲神社では、酉の市のときだけ熊手御守(かっこめ)を授与し、境内を中心に並ぶ熊手店で縁起熊手が売られています(鷲神社「御由緒」、鷲神社「酉の市豆知識」)。長國寺でも、小さな竹の熊手に稲穂をつけた「かっこめ熊手守り」など、熊手の形のお守りを授けています(長國寺「お守り」)。

つまり熊手には、神社・お寺が授ける「お守りの熊手」と、熊手店が売る「縁起熊手」の2種類があり、手締めがあるのは縁起熊手を買うときです。

「お守りの熊手」と「縁起熊手」の違い

お守りの熊手(かっこめ) 縁起熊手
受けるところ 神社・お寺の授与所 境内などに並ぶ熊手店
どんなもの 小さな竹の熊手に稲穂などをつけたお守り 宝船やおかめなどの飾りがついた熊手。大きさはさまざま
買い方 授与所で受ける 値段のやり取りのあと、手締めをすることが多い
喪中の年 例年どおり受ける家も、控えめにする家もある 同じ大きさにする・手締めを辞退する家も
鷲神社では、お守りの熊手を受けてから縁起熊手を求め、家や神棚に祀るのが一般的とされています

喪中に控えるとされるのは「祝いごと」と、忌中の神社参拝

喪中は、年賀状やお正月飾りなどのお祝いごとを控える期間です。ただ酉の市は「お参り」と「縁起物を受けること」が中心なので、喪中か忌中かで分けて考えると整理しやすくなります。

神社本庁によると、地域に慣例がなければ五十日祭までが「忌」、一年祭までが「服」とするのが一般的で、忌の期間は神社の参拝と家庭の神棚のまつりを控えます。50日を過ぎれば、原則として参拝を再開して差し支えないと考えられています(神社本庁「服忌について」)。仏式では、四十九日法要で忌明けとする例が多いとされます(天台宗「葬儀と供養について」)。初詣と同じ考え方なので、くわしくは忌中と喪中で初詣に行くルールはどう違うかも参考にしてください。

忌中に酉の日が重なったらどうする?

今年の酉の日が忌中にかかるかの目安

亡くなった日を1日目として数えると、2026年は9月20日ごろ以降に亡くなった場合は一の酉(11月7日)が、10月2日ごろ以降なら二の酉(11月19日)も忌中にかかります(五十日祭で数える神式なら、それぞれ1日早い9月19日・10月1日ごろが境目です)。一の酉だけが忌中にかかる場合は、忌明け後の二の酉に参るという選び方もできます。ただし、四十九日法要は日を前倒しして行う家も多く、忌明けの日は家や地域によって違います。あくまで目安として、カレンダーで数えて確かめてください(神社本庁「服忌について」、天台宗「葬儀と供養について」)。

亡くなってから酉の市・喪明けまでの流れ(目安)

  1. 亡くなった日神棚封じをする神棚に白い半紙を貼るなどして、まつりを一時やめる
  2. 忌中(〜四十九日/五十日祭)神社の酉の市への参拝は控える熊手は今のものを飾ったまま。家族・社員に頼む方法も
  3. 四十九日法要・五十日祭忌明け。神棚封じを解くここから神社に参拝してよいとされる
  4. 酉の市(2026年は11月7日・19日)熊手を買い替え、古い熊手を納める一の酉が忌中でも、二の酉なら忌明けのこともある
  5. 暮れの28日ごろ新しい熊手を神棚などに祀る古い熊手を納めて買い替えたなら、すぐ飾ってもよい(鷲神社)
  6. 一年祭・一周忌喪明け
忌の長さは地域や家の慣例でも違います。亡くなった日からカレンダーで数えて確かめてください

方法1:今の熊手を来年まで飾っておく

「毎年必ず行かなければならない」という決まりは、鷲神社・長國寺の案内にも見当たりません。行けない年は今の熊手をそのまま飾り、来年の酉の市で感謝を込めて納める、と考えればよいでしょう。

方法2:忌中でない家族・社員に代わりに行ってもらう

神社本庁の説明では、忌中は亡くなった人の身内が故人のまつりに専念する期間とされ、昔の決まりでは親族の続柄が遠くなるほど期間が短くなっていました。続柄の遠い家族や社員なら、代わりに行ける場合があります。誰が忌中にあたるかは家や地域によって考え方が違うので、家族で話して決めましょう。

今年は○○が亡くなってまだ忌中なので、酉の市に行けません。
熊手をいつものお店で受けてきてもらえますか。古い熊手も一緒に納めてきてください。

方法3:お寺の酉の市で受ける

お寺へのお参りは、忌中でも差し支えないとされることが多いです(初詣の記事と同じ考え方)。浅草なら、長國寺で受けられるのは「かっこめ熊手守り」などのお守りの熊手です(長國寺「お守り」)。飾りのついた縁起熊手の店は、鷲神社の境内を中心に並んでいます(鷲神社「酉の市豆知識」)。忌中は縁起物そのものを控える家もあるので、お寺で受けるのは「今年はお守りの熊手だけ」と考えておくとよいでしょう。ただし、忌中の参拝をどう考えるかはお寺ごとに違うので、気になる場合は問い合わせてみてください。

また浅草では、鷲神社と長國寺が隣り合っていて、当日は人の流れも一体になります。神社の鳥居をくぐらないよう、長國寺の交通ガイドマップなどで道順を前もって確かめておくと安心です。

どうしても自分で行く必要があるときは

神社本庁は、忌の期間は神社への参拝を遠慮するとしたうえで、やむを得ない場合はお祓いを受けてから参拝するのがよいとしています。神社に前もって相談しましょう。うっかり鳥居をくぐってしまったときは、忌中に神社の鳥居をくぐってしまったらどうする?で対処法をまとめています。

なお長國寺の「酉の市Q&A」では、酉の市に行けなかった人向けに、熊手商のサイトから熊手を求める方法も案内されています(長國寺「酉の市Q&A」)。

喪中(忌明け後)に熊手を買い替えるときは

決まりはなく、家ごとに判断が分かれる

忌明け後は神社への参拝を再開してよいとされますが、熊手の買い替えについての決まりはありません。熊手は商売や家の守りなので例年どおり受ける家もあれば、喪中の一年は縁起物を控えめにする家もあります。家族の気持ちや地域の習わしに合わせて決めてください。

「毎年大きくする」は今年どうする?

鷲神社では、熊手は最初は小さいものから始め、会社や世帯の繁栄に合わせて徐々に大きくするといわれる、と紹介しています(鷲神社「酉の市豆知識」)。「毎年必ず大きくしなければならない」という意味ではありません。

喪中の年は同じ大きさや少し小さめにする家もあれば、例年どおり大きくする家もあります。家族の気持ちに合わせて決めてください。

手締めはどうする?

熊手を買うときの手締め(手打ち)は、商いが成立したことを表し、家庭や会社の弥栄(いやさか)を祈るものとされています(鷲神社「酉の市豆知識」)。気になる場合は、店の人に事情を伝えて辞退する、控えめにしてもらうといった方法があります。応じ方は店によって違うので、相談してみましょう。

今年は身内に不幸があって喪中なので、手締めは控えさせてください。
熊手はいつものように、ありがたく頂きます。

熊手屋さんへのご祝儀は?

長國寺の「酉の市Q&A」では、熊手屋さんへのご祝儀はあくまで慣習であって、決まりではないと説明されています(長國寺「酉の市Q&A」)。もともとは値切った分をご祝儀として店に置いてくるのが「粋」な買い方とされていました(鷲神社「酉の市豆知識」)。喪中だからご祝儀を出してはいけないという決まりもないので、気持ちに合わせて決めてかまいません。

古い熊手の納め方

受けた神社・お寺に納めるのが基本

鷲神社は、一年間守っていただいた古いお札や熊手は、お炊き上げ料を添えて、受けた神社やお寺に納めるよう案内しています(鷲神社「熊手・御守等の祀り方」)。長國寺も、新しい熊手を求めに来るときは前年の熊手を持ってきて、熊手の納め所に置けばよいとしています(長國寺「酉の市Q&A」)。

酉の市の日に納められないとき

長國寺の「酉の市Q&A」では、納め所に持って行けなかった場合、ごく小さなものなら、近くの寺社で大みそかや初参りにお札のお焚き上げをしていれば、お賽銭を添えてそこに納めるとよいとしています。大きなものは、感謝をしたうえで、住んでいる地域の分別ルールに従って分解して処分してほしい、と案内されています(長國寺「酉の市Q&A」)。

忌中で納めに行けないとき

忌中の間は、忌明けまで飾っておくか、忌中でない家族に納めてきてもらいましょう。お寺のお焚き上げに納める方法もあります。神社のお焚き上げ(どんど焼きなど)は忌明け後にすると安心です。

新しい熊手はいつ・どこに飾る?神棚封じとの関係

飾る時期と場所の目安

鷲神社は、新しく受けたお札や熊手は暮れの28日に神棚などに祀り、古い熊手を納めて買い替えた場合はすぐに飾ってもかまわないとしています。向きは、なるべく高いところで南向きか東向き、難しければ北向きだけは避ければよいそうです(鷲神社「熊手・御守等の祀り方」)。長國寺は、玄関なら入り口に向けて少し高いところ、室内なら熊手の正面を南・東・西などに向けて少し高いところに、と案内しています(長國寺「酉の市Q&A」)。案内が少し違うので、受けたところに合わせるとよいでしょう。

神棚封じをしている間は神棚に祀らない

忌中は、神棚の前に白い半紙を貼るなどして、神棚のまつりを一時やめます。この間は、新しい熊手やお札を神棚に上げず、忌明けに神棚封じを解いてから祀ります。やり方は神棚封じのやり方は?誰がいつまで行うかと忌明けの解き方で解説しています。

神社本庁は、年末年始が忌の期間と重なるときは、忌明けの後にお神札を受けるよう案内しています(神社本庁「服忌について」)。熊手も同じように考え、忌明け後に飾ればよいでしょう。

会社・お店の熊手はどうする?

商売の熊手は家の喪中と分けて考える方法も

会社やお店として受ける熊手は、商売繁盛を願う仕事のものです。そのため、家の喪中とは分けて、例年どおり受ける会社やお店もあります。会社名義と個人名義を分けて考えるのは、仕事の年賀状と同じ考え方です(喪中でも仕事の年賀状は出していいか?)。

社長・店主本人が忌中のとき

社長や店主本人が忌中なら、本人の神社参拝は控え、社員や忌中でない家族に代わりに行ってもらうと安心です。手締めも、代わりの人が受ける形でかまいません。熊手店に必ずしも事情を説明しなくてもかまいませんが、顔なじみの店ならひと言伝えておくとスムーズです。

毎年お世話になっております。○○(会社名・屋号)です。
今年は身内に不幸があり、私が伺えないため、社員の○○が代わりに参ります。
いつもと同じ大きさのものでお願いできますでしょうか。

社員の家族が亡くなったとき

熊手を受けに行く係の人が忌中なら、担当を代わってもらいましょう。本人からは言い出しにくいので、上司や総務から声をかけるとよいでしょう。

お店に飾っている熊手を喪中に外す必要は?

外さなければならない決まりはありません。神棚に祀っている熊手は、神棚封じの間はそのままにして触れないようにします。

よくある疑問

喪中の年は、酉の市に行くだけ(熊手は買わない)ならいい?

かまいません。人出の多いにぎやかな場なので、気持ちが向かないときは無理に行かなくてもよいでしょう。

浄土真宗や神道の家だと考え方は違う?

浄土真宗では、忌中・喪中を特に設けない考え方があるとする説明もあります。真宗の家は、菩提寺に確かめると安心です。神道では、五十日祭までが忌とされるのが一般的なので、神社に確かめてください。

去年の熊手を1年以上飾ったままでも大丈夫?

何年までという決まりは、鷲神社・長國寺の案内には書かれていません。来年の酉の市で感謝を込めて納めればよいでしょう。

亡くなった家族が毎年熊手を買っていた。今年は誰が受け継げばいい?

決まりはありません。家業を継ぐ人や同居していた家族など、家族で話して決めましょう。故人が受けた熊手は、来年の酉の市で感謝を込めて納めます。

だるま市やだるまの買い替え・目入れについては、喪中・忌中にだるまを買っていい?だるま市の判断と古いだるまの納め方、目入れを解説で解説しています。

まとめ

喪中・忌中の酉の市と熊手について、ポイントを整理します。

  • 決まりはなく、目安は神道の「忌」:忌は一般に五十日祭まで。忌中は神社の酉の市を控え、忌明け後は参拝してよいとする考え方が多い
  • 忌中に酉の日が重なったら:今の熊手を飾ったままにする、家族や社員に頼む、お寺の酉の市で受ける、のどれかで。2026年は一の酉11月7日、二の酉11月19日
  • 忌明け後の買い替え:例年どおり受ける家も、控えめにする家もあり、決まりはない。同じ大きさにする・手締めを辞退する家も
  • 古い熊手:受けた神社・お寺に納める。行けなければ忌明けまで飾るか家族に頼む
  • 会社・お店の熊手:家の喪中と分けて考え、本人が忌中なら代わりの人に

熊手は、一年を守ってくれたことへの感謝と、これからへの願いを込めるものです。喪中の年でも、すべてをやめる必要はありません。家族で話し、迷うところは参拝先の神社・お寺に確かめながら、無理のない形で続けていってください。

ABOUT ME
家族の終活ノート
家族の終活ノート
終活ブロガー
義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
記事URLをコピーしました