喪中・忌中に合格祈願はしていい?お守りと絵馬の受け方と郵送祈願を解説
受験まであと数か月という時期に、家族を亡くすことがあります。「喪中に神社で合格祈願をしていいのだろうか」「お守りだけでも用意してあげたい」「親から神社はだめと言われたけれど、どうすれば」と、受験生本人も親も迷ってしまいます。
結論をお伝えします。神社での合格祈願は、忌中(神道では慣例がなければ五十日祭まで)のあいだは控え、忌が明けたあとなら喪中でもしてかまいません。忌中でも祈願をしたいときは、郵送で祈願やお守りを申し込む、忌明けを待つ、やむを得ない場合はお祓いを受けてから参拝する、といった方法があります。また、同じ家族でも続柄によって忌の日数が違うことがあり、受験生と親とで忌明けの日がずれる場合もあります。
この記事では、次のことがわかります。
- 忌中・喪中それぞれで、参拝・祈祷・お守り・絵馬をどうするか
- 受験生と親とで、忌の長さが違うことがある理由
- 忌中に合格祈願をしたいときの4つの方法(郵送祈願など)
結論:喪中・忌中の合格祈願の早見表
| やりたいこと | 忌中 | 忌明け後(喪中) |
|---|---|---|
| 神社に参拝して合格祈願 | 控える(やむを得ない場合はお祓いを受けてから) | してよい |
| 神社で祈祷を受ける | 控える。郵送での祈祷を検討 | してよい |
| お守りを受ける | 忌明けを待つ・郵送で申し込む・忌のかからない人が受ける※ | してよい |
| 絵馬を奉納する | 控える | してよい |
| お寺に参拝する | してよい(初詣の記事参照) | してよい |
| お寺で合格祈願の祈祷を受ける | 寺院に確認 | 寺院に確認 |
| 人からお守りをもらう | 受け取ってはいけないとする根拠は見当たらない | 問題になりにくい |
| 葬儀・法事・お墓参りの当日に神社へ参拝 | 控える | 控える |
※ほかの人に代わりに受けてもらう方法を、神社が勧めている公式な情報は見当たりません。気になる場合は神社に問い合わせてください。地域や家に決まった習わしがあれば、そちらを優先しましょう。
まず「今が忌中かどうか」を確かめる
合格祈願をどうするかは、「忌中か、忌明け後か」で大きく変わります。忌中に控えることの全体像は忌中期間にやってはいけないことは何か?で解説しています。
忌は「神事を控える期間」、服は「故人をしのぶ期間」
神社本庁は、「忌」を故人のおまつりに専念する期間、「服」を故人への哀悼の気持ちを表す期間と説明しています。地域に慣例がある場合はそれに従い、慣例がなければ五十日祭までを「忌」、一年祭(一周忌)までを「服」とするのが一般的とされます。そして、五十日を過ぎれば原則として神社の参拝や家庭のおまつりを再開して差し支えないとしています(神社本庁「服忌について」)。
学問の神様として知られる北野天満宮も、「服」の期間は年賀状を控えたりするものの、神社への参拝は差し支えないと案内しています。ただし、葬儀への参列やお墓参り、法事などをした日の神社参拝は控えるよう求めています(北野天満宮「よくあるご質問」)。つまり、一般に「喪中」と呼ばれる期間のうち、参拝を控えるのは前半の忌の期間ということになります。
忌の日数は続柄で変わり、神社・地域によっても違う
忌の日数は、亡くなった人との関係によって短くなることがあります。福岡県神社庁も、忌や喪は故人との関係で日数が短くなる場合があるとしています(福岡県神社庁「よくあるご質問」)。目安として、2つの例を紹介します。
- 愛知県神社庁:父母・夫・妻・子は50日、祖父母・孫・兄弟姉妹は30日、曾祖父母・甥・姪・伯叔父母などは10日、そのほかの親族は3日。配偶者の親族は、親等を一つずつ繰り下げた日数になる(愛知県神社庁)
- 北野天満宮:父母は50日、夫・義父母・祖父母・曾祖父母は30日、妻・子・兄弟姉妹・伯叔父母は20日、孫は10日、甥・姪・いとこは3日(7歳未満の小児には適用しないとの注記あり)(北野天満宮)
このように、情報源によって日数は同じではありません。一方、神社本庁は慣例がなければ五十日祭までを忌とするのが一般的としています。どれが正しいというものではないので、地域の慣例や、参拝したい神社の考え方に従うのが基本です。
同じ家族でも、受験生と親とで忌の長さが違うことがある
たとえば父方の祖父が亡くなった場合、受験生から見れば「祖父」、父親から見れば「父」、母親から見れば「義父」です。上の例に当てはめると、受験生は30日、父親は50日、母親は30日(愛知県神社庁の繰り下げ、北野天満宮の義父母)となり、受験生(と母親)のほうが父親より先に忌明けを迎えることがあります。
どの日数で考えるかは家や地域によって違うので、家族で話し合っておくと安心です。
忌明けの日の数え方
忌明けの日をどう数えるか(四十九日・五十日祭の数え方)は、忌中と喪中で初詣に行くルールはどう違うか?で詳しく解説しています。受験日や初詣との前後関係もあわせて確認してください。
忌中に合格祈願をしたいときの4つの方法
1. 忌明けを待って参拝する
受験日より前に忌が明けるなら、忌明けを待って参拝するのがいちばん素直な方法です。祈祷、お守り、絵馬もそのときにまとめて受けられます。受験日の直前になる場合は、混雑や受付時間も考えて余裕をもって予定を立てましょう。
「受験日までに忌が明けるか」で選ぶ
2. 郵送で祈願・お守りを申し込む
天満宮の中には、参拝できない人のために郵送での祈願やお守りの授与を受け付けているところがあります。
- 太宰府天満宮:郵送による祈願やお札・お守りの授与を案内しています。祈願を申し込むと、神前で名前と住所を読み上げて祈願祭を行い、お札・お守りなどを送るとしています。家族や友人など、大切な人のために申し込むこともできるとされています(太宰府天満宮「郵送でのご祈願・お守り」)
- 湯島天満宮:郵送での祈祷と、お守りの郵送授与を受け付けています。Webフォームか、印刷した申込書で申し込み、初穂料は現金書留で送る方法です(湯島天満宮「ご祈祷」・湯島天満宮「授与品」)
- 北野天満宮:特別な事情で参拝できない人に、お札やお守りを郵送で授与しています。ホームページから専用の用紙をダウンロードし、現金書留で送る方法です(北野天満宮「よくあるご質問」)
初穂料や送料、届くまでの日数、受付期間は変わることがあるので、申し込む前に必ず公式サイトで最新の案内を確認してください。なお、これらの案内には、忌中・喪中の人の申し込みについての記述はありません。気になる場合は、申し込む神社に問い合わせておくと安心です。
3. やむを得ない場合はお祓いを受けてから参拝する
神社本庁は、忌の期間は参拝を遠慮するものの、やむを得ない場合はお祓いを受けてから参拝するのがよいとしています(神社本庁「よくあるご質問」)。どうしても忌中に参拝したい事情があるときは、事前に神社へ連絡し、お祓いを受けられるか相談しましょう。
4. 忌のかからない家族や友人に頼む
前年のお守りの返納を、忌中でない家族に頼む家庭もあります。ただ、新しくお守りを受けてきてもらう方法については、神社が勧めている公式な情報は見当たりませんでした。気になる場合は、神社に相談してから決めてください。
合格祈願を受ける4つのルート
- 向いている人:受験日前に忌が明ける
- 注意点:葬儀・法事・お墓参りの当日は参拝を控える
- 向いている人:忌中・遠方で参拝できない
- 注意点:届くまでの日数と受付期間を確認
- 向いている人:菩提寺や近くのお寺に縁がある
- 注意点:参拝は忌中でもよいとされることが多いが、祈祷をするかは寺院で違う
- 向いている人:今は外に出る余裕がない
- 注意点:神棚封じ中は神棚へのお参りを休む
お守り・絵馬はどう扱う?
受験生本人が神社のお守りを持つのはよい?
忌中にお守りを持つことの是非について、はっきり示した公式な情報は見当たりませんでした。神社本庁は忌明け後に新しいお神札を受けるよう案内しているので(神社本庁)、新しく受けるのは忌明け後か郵送で、と考えるとわかりやすいでしょう。すでに持っているお守りの扱いが気になる場合は、受けた神社に相談してください。
人からもらったお守りは受け取ってよい?
友人や恋人、親戚からお守りをもらうこともあるでしょう。忌中の人がお守りを受け取ってはいけない、とする公式な根拠は見当たりません。贈る側の気持ちとして受け取り、どうしても気になる場合は、忌明け後に身につけるという形でもよいでしょう。
絵馬は忌明け後に奉納する
絵馬は神社に奉納するものなので、参拝と同じく忌明け後に奉納するのが無難です。郵送で絵馬を扱っているかは神社によって違うため、希望する場合は問い合わせてみてください。
去年のお守りやお礼参りは忌明け後に
神社本庁は、お神札やお守りは1年ごとに新しく受けるのがよいとし、前の年のものは受けた神社に納めるのがよいとしています。行けない場合は、近くの神社に相談するか、気持ちを添えて受けた神社へ送る方法もあるとされています(神社本庁「よくあるご質問」)。合格後のお礼参りも、忌が明けてから行けば問題ありません。
お寺で合格祈願をする場合
お寺への参拝は、忌中・喪中を問わず差し支えないとされることが多く、仏教には死を穢れ(けがれ)とする考え方がないと説明されます。詳しくは忌中と喪中で初詣に行くルールはどう違うか?で解説しています。死を穢れとしない考え方の例として、真宗大谷派は、死を穢れとする考えから清め塩を使うことについて「迷信にすぎません」としています(真宗大谷派「葬儀・法事・お墓」)。
ただし、合格祈願の祈祷を行うかどうかは、寺院や宗派によって違います。祈祷を受けたい場合は、申し込みたい寺院に、受け付けているか・いつ受けられるかを確認しましょう。
なお、神社と同じ境内にあるお寺や、お寺の中に鳥居があるところもあります。忌中の場合は、鳥居のある側へ入らないよう、事前に確認しておくと安心です。
自宅でできること
家に神棚がある場合、忌の期間は神棚封じをして、おまつりを一時的に休みます(神社本庁「服忌について」)。合格祈願のお札を神棚にまつりたい場合も、忌明けを待ちましょう。やり方は神棚封じのやり方は?で解説しています。
受験生にとっては、家族を亡くした悲しみと受験の不安が重なる時期です。合格祈願ができないことを気に病みすぎず、「忌明けに改めてお参りしよう」と予定を決めておくだけでも、気持ちが少し落ち着くことがあります。家族で故人を思い出しながら、受験生が勉強に集中できる環境を整えることを優先してください。
よくある疑問
知らずに忌中に神社で合格祈願をしてしまった
知らずに参拝してしまっても、必要以上に心配することはありません。気になる場合は、神社に相談してお祓いを受けるという方法があります。詳しくは忌中に神社の鳥居をくぐってしまったらどうする?をご覧ください。
塾や学校の合格祈願行事に誘われたら?
塾や学校で、神社に合格祈願に行く行事があることもあります。忌中であれば、事情を伝えて欠席するか、参加のしかたを相談するのが一般的です。神社の外で待つなど、先生と相談して決める方法もあります。
試験会場の近くや通学路に神社がある
参拝するわけではなく、前を通るだけであれば、そこまで気にしすぎなくてよいと考える人が多いようです。鳥居をくぐることが気になる場合は、別の道を通るなど、自分が落ち着いて試験に臨める方法を選びましょう。
喪中の友達の分も一緒に祈願していい?
友達が忌中で参拝できない場合、代わりに祈願してあげたいと思うこともあるでしょう。太宰府天満宮では、郵送での祈願を家族や友人など大切な人のために申し込むこともできるとしています(太宰府天満宮)。こうした方法も含めて、友達や神社に相談してみてください。
受験と葬儀の日程が重なったときの考え方や共通テストの追試験については、受験と葬儀が重なったらどうする?受験生の参列の判断と共通テスト・高校入試の追試験を解説で解説しています。
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まとめ
喪中・忌中の合格祈願についてのポイントを整理します。
- 忌中は神社での合格祈願を控える:慣例がなければ五十日祭までが目安。忌明け後は喪中でも参拝してよい
- 忌の日数は続柄で違う:受験生と親とで忌明けがずれることも。地域の慣例・参拝先に従う
- 忌中なら郵送という選択肢:郵送の祈願(祈祷)は太宰府・湯島、お札・お守りの郵送は北野も受付。条件は公式サイトで確認
- やむを得ない場合はお祓いを受けてから:事前に神社に相談する
- お守り・絵馬・お礼参りは忌明け後に:もらったお守りは受け取ってよく、気になれば忌明け後に持つ
受験と家族の死が重なるのは、受験生にとっても家族にとってもつらいことです。合格祈願の形は一つではありません。忌明けを待つ、郵送で申し込むなど、無理のない方法を選び、迷ったときは参拝したい神社に問い合わせてみてください。
