喪中に餅つきはしていいか?家庭・町内会・園の餅つきの判断と断り方を解説
年末が近づくと、毎年のように実家や義実家で餅つきをしてきた家、町内会や子ども会の餅つき大会の当番が回ってくる家もあるでしょう。けれど今年は家族を亡くした年。「喪中なのに餅をついていいのだろうか」「子どもを園の餅つきに参加させてもいいのか」と迷う方は少なくありません。
結論をお伝えします。喪中でも、餅をつくこと・餅を食べることそのものは控えなくてよいとする考え方が多く、控えるのは鏡餅や正月飾りのような「お祝いとしての飾り」です。忌明け後なら、ついた餅は普段の食事やお雑煮に使い、仏壇に供えてもかまわないとされます。ただし、年末が忌中(仏式は四十九日、神式は五十日祭まで)に重なる場合は、家庭の餅つきは見送り、町内会や園の行事も手伝いや参加を控えるのが無難です。
この記事では、次のことがわかります。
- 家庭・実家・町内会・子ども会・園の餅つきを、忌中と喪中に分けてどうするか
- 今年の年末が忌中に入るかどうかの確かめ方
- 当番を断る・園に連絡する・義実家に相談するときの例文
おせちやお雑煮、正月飾りなど、喪中のお正月全体の過ごし方は喪中の正月はどう過ごす?で解説しています。ここでは「餅つき」に絞ってお伝えします。
結論:喪中・忌中の餅つき早見表
| 場面 | 忌中 | 喪中(忌明け後) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 自宅で餅つき(食べる分) | 控える | してよい | お祝いの飾りにしない |
| 鏡餅をつく・飾る | 控える | 飾らないのが一般的 | お祝いの飾りにあたる |
| 餅を買って食べる・お雑煮 | 餅は普段の食事としてならよい/お雑煮は控える家庭が多い | してよい | お雑煮は喪中の正月も参考に |
| 実家・義実家の餅つきに行く | 控えるか、事情を伝えて相談 | 相手の家に相談して参加 | 主催する家の考えを優先 |
| 町内会の餅つきの当番・手伝い | 交代を依頼 | 裏方なら担う家庭も | 神社の境内での行事なら主催者・氏子総代に確認 |
| 子ども会・園の行事に子どもが参加 | 欠席か、園に相談 | 参加させる家庭が多い | 行事の目的を確認 |
| 取引先・職場の餅つき | 欠席 | 参加を判断 | — |
| ついた餅を仏壇に供える | (つかない) | 供えてよいとされる | 仏壇は神棚と違い封じないとされる |
いずれも「多くの家庭での考え方」の目安です。地域や親族に決まった習わしがあれば、そちらを優先してください。
喪中に餅つきを控える決まりはあるのか
喪中に控えるのは「お祝いごと」
まず知っておきたいのは、喪中に何をしてはいけないかを定めた法律や、全国共通のはっきりした決まりはないということです。喪中は故人をしのんで過ごす期間で、控えるのは結婚式やお正月のお祝いのような「おめでたいこと」とされています。
餅つきは、年末の家事であり、家族や地域の行事でもあります。それ自体がお祝いの儀式というわけではありません。たとえば愛知県大口町の町史編さん室だよりでは、町内に住んでいた方の日記に、結婚や出産の祝い、家を建てるときの神事のほか、法事にも餅をついていたと記されていたことが紹介されています(大口町「町史編さん室だより 餅つき」(PDF))。少なくともこの地域では、餅はお祝いのときだけのものではなかったようです。
餅つきと鏡餅・年神様の関係
迷いやすいのは、年末の餅つきが正月の準備として行われてきたからです。農林水産省のページでは、鏡もちは新年の神様である「年神様」をお迎えしたときのお供え物と説明されています。また、1月11日の「鏡開き」は、お供えしていた鏡もちを下ろして無病息災を願って食べる行事で、鏡もちは下ろして食べることに意義があるとされています(農林水産省「1月11日は『鏡開き』」)。
喪中の家ではお正月のお祝いを控えるため、年神様を迎える鏡餅は飾らないのが一般的です。つまり、控えるのは「餅をつく行為」よりも、ついた餅を鏡餅としてお祝いに飾る部分と整理すると考えやすくなります。
忌中と喪中の違い
判断の分かれ目になるのが、忌中か喪中かです。仏式では四十九日までを忌中とするのが一般的です。神道では、神社本庁によると、特に慣例がない場合は五十日祭までが「忌」、一年祭(一周忌)までが「服」の期間とするのが一般的とされています(神社本庁「神棚と仏壇・服忌について」)。忌中はより慎む期間、忌明け後から一年ほどが喪中と考えればよいでしょう。詳しくは忌中期間にやってはいけないことは何か?をご覧ください。
宗派や地域で考え方が違う
浄土真宗については、「亡くなった人はすぐに仏になると考えるため、忌中・喪中を特に設けない」と説明されることが多いようです。ただし、お寺や家によって受け止め方は違うので、気になる場合は菩提寺に確認してください。また、地域によっては餅つきやお正月について独自の習わしが残っていることもあります。親族の年長者に一度聞いておくと安心です。
家庭での餅つき・お正月の餅はどうする?
今年の年末が忌中に入るかの確かめ方
まず、亡くなった日から数えて四十九日(神式は五十日祭)が、餅つきの予定日より前か後かを確かめます。亡くなった日を1日目として数えるのが一般的で、たとえば10月15日に亡くなった場合、四十九日は12月2日ごろです。この場合、12月中旬以降の餅つきは忌明け後になります。一方、11月下旬に亡くなった場合は、年末はまだ忌中です。
亡くなった時期と年末の重なり方(目安)
- 9月下旬に亡くなった四十九日は11月上旬〜中旬例:9月25日→11月12日ごろ。年末の餅つきは忌明け後で、喪中としての判断になる
- 10月中旬に亡くなった四十九日は11月下旬〜12月上旬例:10月15日→12月2日ごろ。12月中旬以降の餅つきは忌明け後
- 11月上旬に亡くなった四十九日は12月中旬〜下旬例:11月10日→12月28日ごろ。つく日によって忌中かどうかが変わる
- 11月下旬以降に亡くなった年末は忌中例:11月25日→翌年1月12日ごろ。家庭の餅つきは見送る目安
実際の四十九日法要は、親族が集まりやすい日に合わせて前倒しして行うこともあるため、法要の日を忌明けの目安にする家庭もあります。境目に近いときは、親族と相談して決めましょう。
喪中(忌明け後)なら「食べる分」をつく
忌明け後であれば、家族で食べる分の餅をつくのは差し支えないと考える家庭が多いようです。ただし、紅白の餅や、のし餅を華やかに飾りつけるなど、お祝いの雰囲気が強いものは控えめにしておくと、親族や近所の目も気になりません。
今年の餅つき、どう判断する?
鏡餅は飾らず、餅は食べてよい
喪中の年は鏡餅を飾らないのが一般的です。小さな丸餅をついたとしても、鏡餅として重ねて飾らず、お雑煮や焼き餅として普段の食事で食べれば問題ありません。鏡餅を飾らないので、鏡開きも行わなくてよいでしょう。お雑煮やおせちの考え方は喪中の正月はどう過ごす?で整理しています。
ついた餅を仏壇に供える
ついた餅を仏壇に供えるのは、かまわないとされています。仏教では死を穢れとは考えないため、仏壇は神棚のように封じる必要はないとされ、忌中でも故人の供養としてお供えを続けます。ただし、地域によっては仏壇の扉を閉める習わしもあるので、迷ったら親族や菩提寺に確認しましょう。
一方、神棚は扱いが違います。神社本庁は、忌の期間は家庭での神棚のおまつりも控え、白い半紙を貼るなどして一時的に神棚のおまつりを取りやめるのが多いとしています。年末年始が忌の期間と重なるときは、忌明けの後にお神札を受けるよう案内しています(神社本庁)。神棚封じのやり方は神棚封じのやり方は?をご覧ください。
餅つきの日取りの言い伝え
地域には、餅をつく日にまつわる言い伝えもあります。大阪府摂津市の資料では、正月用の餅は12月25日ごろからつくところが多く、29日につくと「クモチ」、31日につくと「一夜餅」といって避けるところが多かったようだと紹介されています(摂津市の郷土資料(PDF))。大口町の資料でも、28日につく家が多く、29日は「苦の餅」として避けたという話が紹介されています。喪中かどうかとは別の地域の言い伝えですが、日程を決めるときの参考にしてください。
実家・義実家の餅つきに呼ばれたら
実家や義実家の餅つきは、主催する家の考えを優先しましょう。亡くなったのが自分の親で、餅つきをするのが義実家という場合、義実家の側は喪中ではありません。そのため「行ってもいいのか」は、自分だけで決めずに相手の家に相談するのがいちばんです。
喪中(忌明け後)であれば、事情を先に伝えたうえで「手伝わせてもらってもいいですか」とたずねる形にすると、相手も答えやすくなります。忌中であれば今年は控え、年明けに改めてあいさつに伺う形でも失礼にはなりません。子どもが楽しみにしている場合も、まずは大人同士で話をしてから決めましょう。
町内会・子ども会の餅つき行事はどうする?
忌中なら当番・役員は交代をお願いする
町内会や子ども会の餅つき大会で、当番や役員が回ってきた年に家族を亡くした場合、忌中であれば交代をお願いするのが無難です。準備は数週間前から始まることも多いので、事情がわかった時点で早めに伝えましょう。「いつまで忌中か」を添えると、相手も段取りを組み直しやすくなります。
忌明け後は「行事の中身」で考える
忌明け後は、その餅つきがどんな行事なのかで考えます。公民館や集会所で行う地域の交流行事であれば、裏方の手伝いを担う家庭もあります。一方、神社の境内で行う行事や、神前にお供えする餅をつく行事は、神事に近いものです。参加してよいかは、主催者や氏子総代に確認しましょう。神社の行事への関わり方の考え方は、喪中に秋祭りの役員や寄付はどうする?もあわせてご覧ください。
頼む側(役員)の配慮
役員として案内を回す立場なら、喪中の家にも案内そのものは届けてかまいません。ただし、当番を無理に割り当てず、「今年はご無理のない範囲で」と相手が選べる形にしておくと、気持ちよく判断してもらえます。
保育園・幼稚園の餅つきに子どもを参加させていい?
保育園や幼稚園の餅つきは、子どもの行事や体験として行われることが多いようです。目的は園によって違うので、気になる場合はおたよりなどで確認してみましょう。
忌中であれば、園に事情を伝えて相談し、欠席するか見学にするかを決めるのが無難です。喪中(忌明け後)であれば、参加させる家庭が多いようです。子どもにとっては、友だちと一緒に過ごす大切な時間でもあります。親族の考えも確かめつつ、子どもの気持ちを大切にして決めてください。
断るとき・相談するときの伝え方(例文)
町内会の当番を断る(忌中)
お世話になっております。実は〇月に父が亡くなり、〇月〇日まで忌中となります。
今年の餅つき大会の当番は、申し訳ありませんがどなたかに代わっていただけないでしょうか。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
子ども会で役を代わってもらう
子ども会の皆さんへ。〇月に家族を亡くし、今年の餅つきの時期は忌中となります。
当日の係は、〇〇さんにお願いできればと考えています。
名簿づくりや連絡など、家でできることは引き続き担当します。
園への連絡帳(欠席または見学)
いつもお世話になっております。〇月に祖父が亡くなり、家族が忌中のため、〇日の餅つき会は欠席(または見学のみ)とさせていただけますでしょうか。
本人は楽しみにしておりましたので、園での様子を後で教えていただけるとうれしいです。
義実家への相談(参加の可否をたずねる)
今年も餅つきのお声がけをありがとうございます。
〇月に母が亡くなり、四十九日は済みましたが喪中になります。
お手伝いに伺ってもご迷惑でないか、お考えを聞かせていただけますか。
よくある疑問
家庭用の餅つき機でつくのもだめ?
臼と杵でも餅つき機でも、考え方は同じです。忌明け後であれば、食べる分や仏壇へのお供え用をつくのは差し支えないと考える家庭が多く、鏡餅として飾らなければよいでしょう。
取引先・職場の餅つきに誘われた
忌中であれば、事情を伝えて欠席するのが無難です。忌明け後は、仕事上の付き合いも考えて参加を判断してかまいません。年末の会社行事全般については、喪中のクリスマス・忘年会・新年会は参加してもいい?も参考にしてください。
同居していない祖父母が亡くなった場合も控える?
続柄や同居しているかどうかで、どこまで控えるかを変える考え方もありますが、決まった基準はありません。親族の考えや地域の慣習に合わせ、迷ったら年長の親族に相談しましょう。
親戚に「喪中なのに」と言われたら?
喪中の考え方は、地域や家、世代によって違います。言い争うよりも、「今年は鏡餅は飾らず、食べる分だけにしています」と控えている点を伝えると、受け止めてもらいやすくなります。親族の集まりでは、年長者の考えに合わせるのも一つの方法です。
あわせて読みたい
まとめ
喪中・忌中の餅つきについてのポイントを整理します。
- 餅つき自体は控えなくてよいとする考え方が多い:控えるのは鏡餅や正月飾りなど、お祝いとしての飾り
- まず忌中かどうか:仏式は四十九日、神式は五十日祭まで。年末が忌中なら家庭の餅つきや行事は見送る
- ついた餅は食べてよい:普段の食事やお雑煮にし、仏壇に供えてもかまわないとされる(忌中のお雑煮は控える家庭が多い)
- 外の行事は主催者・親族に相談:実家・町内会・子ども会・園それぞれの考えを優先する
- 断るときは早めに:「いつまで忌中か」を添えて伝えると、相手も段取りを組みやすい
毎年の餅つきは、家族や地域の大切な行事です。家族を亡くした年は、例年どおりにできないことがあっても自然なことです。無理をせず、親族や主催者と相談しながら、自分たちに合った形を選んでください。
