喪中に賀詞交歓会は出ていい?名刺交換の挨拶と欠席の伝え方、年始回りの手土産を解説
年の瀬に家族を亡くし、年が明けると業界団体や商工会、取引先から賀詞交歓会の案内が届く。毎年会社として出ている会なので、欠席しにくい。そんな状況で「喪中なのに出てもいいのだろうか」「会場で『おめでとうございます』と言われたらどう返せばいいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
結論をお伝えします。賀詞交歓会は、会社や団体が開く仕事の年始挨拶の場です。忌明け(仏式は四十九日法要、神式は五十日祭)を過ぎていれば、出るかどうかは本人の気持ち次第とされ、会社の立場で出席する人が多いです。会場では自分から「おめでとう」は言わず、「旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします」に置き換えれば十分です。相手から「おめでとうございます」と言われても、喪中を説明する必要はありません。忌中(亡くなって間もない時期)なら、欠席するか代理を立てるのが無難で、欠席の理由は「私事都合」程度でかまいません。取引先への年始回りは、自分か相手が喪中なら、松の内を外して「寒中御見舞」として立春までに伺うのが一般的です。会社の慣例で例年どおり松の内に伺う場合も、「おめでとう」は言わず、手土産を「御年賀」にしない形にします。
この記事では、次のことがわかります。
- 喪中・忌中に賀詞交歓会へ出るかどうかの考え方
- 会場での挨拶、名刺交換、乾杯の場面での振る舞い
- 欠席するときの伝え方と例文
- 取引先への年始回りと、手土産ののし・表書き
- 相手(取引先の担当者)が喪中のときの対応
結論:喪中の賀詞交歓会・年始回りの早見表
| 場面 | 一般的な考え方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 忌明け後・会社の代表や担当として賀詞交歓会に出る | 本人の気持ち次第。出席する人が多い | 自分から「おめでとう」は言わず「本年もよろしくお願いいたします」に |
| 忌中(亡くなって間もない)に賀詞交歓会の案内が来た | 欠席か代理出席が無難 | 欠席の理由は「私事都合」程度でよい。会社としての出席は代理で |
| 個人として招かれている会(同業者の私的な新年会など) | 気持ち次第。無理に出なくてよい | 私的な集まりの判断は喪中の新年会の考え方で |
| 名刺交換・立ち話 | 普段どおりでよい | 「旧年中はお世話になりました」で始める。喪中の説明はしなくてよい |
| 「あけましておめでとうございます」と言われた | 同じ言葉を返さなくてよい | 「本年もよろしくお願いいたします」と笑顔で返す |
| 乾杯・万歳三唱・鏡開き | 参加してよいという考え方が多い | 気になるならグラスを掲げるだけ・唱和は控えめに |
| 取引先への年始回り(自分が喪中) | 松の内を外し「寒中御見舞」として立春までに伺うのが一般的 | 会社の慣例で松の内に伺うなら「おめでとう」は言わず、手土産は「御年賀」にしない |
| 取引先の担当者が喪中 | 担当者個人への手土産と挨拶は、松の内を外して「寒中御見舞」に | 会社の慣例で伺う場合も「おめでとう」は避ける |
喪中の過ごし方を定めた法律や公的な決まりはなく、あくまで一般的な考え方です。業界や地域、会社の慣習も確認してください。
喪中でも賀詞交歓会に出てよいと考えられる理由
賀詞交歓会は「お祝いの宴」より「仕事の年始挨拶の場」
賀詞交歓会は、業界団体や商工会、自治体、企業などが年の初めに開く、関係者同士が新年の挨拶を交わす会です。参加者の多くは、個人としてではなく会社や団体の立場で出席します。
喪中に控えるとされるのは、主に家庭や個人のお祝い事です。日本郵便の解説では、喪中は結婚式や祝賀パーティーなど慶事への出席を控えるのが礼儀とされ、正月飾りや鏡餅、おせち料理の用意など、新年を迎える準備もしないと説明されています(日本郵便「喪中はいつまで?」)。賀詞交歓会は乾杯もある会ですが、目的は仕事上の挨拶です。そのため、家庭の新年のお祝いや個人として出る祝賀会とは分けて考える人が多いようです。
「仕事関係は個人の喪中と切り離す」が一般的な考え方
同じ日本郵便の解説には、「喪中はプライベートなことなので、仕事関係で年賀状をやり取りしている方には、喪中はがきは出しません」とあります(日本郵便「喪中はいつまで?」)。これは喪中はがきについての説明ですが、「仕事の関係は、個人の喪中とは切り離して考える」という考え方がよく表れています。
会社名義の年賀状を喪中でも例年どおり出すのと同じように、会社の立場で出る賀詞交歓会も、例年どおり出席する人が多いようです。年賀状の名義の考え方は喪中でも仕事の年賀状は出していいか?で解説しています。
忌中のうちは欠席・代理が無難
一方で、亡くなって間もない忌中は事情が違います。日本郵便の解説では、仏教では「四十九日法要」、神道では「五十日祭」を執り行うことで忌明けするとされ、慶事への出席は特に忌明けまでは注意するよう書かれています。また、忌中は喪に服すことを優先し、忌明け後は本人の気持ち次第とされているのが一般的と説明されています(日本郵便「喪中はいつまで?」)。神道については、神社本庁も地域に慣例がなければ五十日祭までを「忌」とするのが一般的としています(神社本庁「服忌について」)。年末に亡くなった場合、1月の賀詞交歓会は忌中にあたることが多くなります。
葬儀や手続きが続き、体も気持ちも追いつかない時期です。無理に出る必要はありません。会社として欠かせない会であれば、上司や同僚に代理を頼みましょう。
会場が神社だったり、会の中でお祓いや祈願などの神事があったりする場合もあります。神社本庁は、忌の期間には神社の参拝を控える必要があるとし、忌の期間(五十日)を過ぎれば原則として参拝を再開しても差し支えないとしています(神社本庁「服忌について」)。忌明け後で気になる場合は、神事の間だけ席を外すという方法もあります。
賀詞交歓会の案内が届いたときの判断の流れ
会場での挨拶:「おめでとう」を言わずに済ませるコツ
自分から言う挨拶は「旧年中のお礼+本年もよろしく」
喪中の年は、自分から「おめでとう」を言わないのが一般的です。日本郵便の解説でも、喪中は年賀の挨拶を慎むと説明されています(日本郵便「喪中はいつまで?」)。といっても、挨拶そのものをやめる必要はありません。「おめでとう」の部分を外し、昨年のお礼と今年のお願いだけを伝えれば、喪中の事情に触れずに自然な挨拶になります。
【顔なじみの相手に】
旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
【名刺交換で初対面の相手に】
はじめまして、〇〇株式会社の〇〇と申します。本年からどうぞよろしくお願いいたします。
自分からは使わないようにしたい言葉は、次のようなものです。
- あけましておめでとうございます
- 新春のお慶びを申し上げます
- よいお年になりますように
先に「本年もよろしくお願いいたします」と言えば、相手もそれに合わせて返してくれることが多く、会話が自然に進みます。
名刺交換のときの言い方
名刺交換そのものは普段どおりでかまいません。冒頭の「あけましておめでとうございます」を、「はじめまして」「いつもお世話になっております」「本年もよろしくお願いいたします」に置き換えるだけです。会のあとに送るお礼メールや新年の挨拶メールも、同じように「おめでとう」を外せば大丈夫です。メールでの年始の挨拶の書き方は、仕事の年賀状の記事で触れています。
「おめでとうございます」と言われたら
会場で会う人の多くは、あなたが喪中だとは知りません。「あけましておめでとうございます」と言われても、同じ言葉を返さずに「本年もよろしくお願いいたします」と笑顔で返せば十分です。その場で「実は喪中で」と説明すると、相手がかえって気まずくなってしまいます。自分から伝える必要はありません。
親しい相手から「年賀状が来なかったけれど」と聞かれたときだけ、短く伝えれば足ります。
実は昨年、父を亡くしまして、年賀状は控えさせていただきました。
お気遣いなく、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年末の「良いお年を」を言い換えるのと同じ発想です。言葉選びの考え方は喪中に「良いお年を」は言っていいか?も参考にしてください。
乾杯・万歳三唱・鏡開きはどうする?
乾杯や万歳三唱、鏡開きは、会の進行として行われるものです。参加者の一人として加わってよいという考え方が多いです。気になる場合は、次のような方法もあります。
- 乾杯はグラスを軽く掲げるだけにする
- 万歳三唱の唱和を控えめにする
- 鏡開きなどで壇上に上がる役は、ほかの人に代わってもらう
幹事や司会など、主催する側の役を頼まれている場合は、忌中であれば早めに代わってもらえるよう相談しておくと安心です。
欠席するときの伝え方
理由は「私事都合」でよい
案内状の返信はがきやWebの出欠フォームで欠席とするときは、理由を詳しく書く必要はありません。会社あての案内なら「都合により」で十分です。喪中・忌中と書くかどうかは、相手との関係で決めてかまいません。団体の役員や親しい取引先など、主催者に近い相手には、ひと言添えておくと丁寧です。
出欠はがき・Web出欠の通信欄(欠席)
ご案内をいただきありがとうございます。
誠に残念ながら、都合により欠席させていただきます。
貴会のますますのご発展をお祈り申し上げます。
相手の会の発展を願う言葉は、自分が喪中でも使ってよいという考え方があります。気になる場合は、上の例文のように「ご発展をお祈り申し上げます」程度にしておくと落ち着いた印象になります。
主催者(親しい相手)にメールで伝える
件名:賀詞交歓会 欠席のご連絡(〇〇株式会社 〇〇)
〇〇様
いつも大変お世話になっております。
このたびは賀詞交歓会のご案内をいただき、ありがとうございます。
昨年末に身内に不幸がありましたため、今回は欠席させていただきます(当日は弊社の〇〇が代理で伺います)。
改めてご挨拶に伺えればと存じます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
代理出席を立てるとき
会社として出席が必要な会は、役員や部下に代理を頼みます。名刺は代理で出る人のものを使い、会費の支払いや受付での記帳は会社名で行えば問題ありません。主催者に代理出席を伝えておくと、受付でも話が早く進みます。断りの連絡の文面の考え方は、忌中を理由に飲み会を断るにはどう書くか?の文例も参考になります。
欠席したあとのフォロー
会で会えなかった取引先には、松の内が明けてから立春(2月4日頃)までに、寒中見舞いで挨拶する方法もあります(日本郵便「喪中はいつまで?」)。
取引先への年始回りは喪中でもしていい?
年始回りは松の内を外すのが基本。会社の慣例で松の内に伺うなら
高島屋の解説では、相手または贈る方が喪中の場合は、松の内の時期を避けて伺い、のし紙の表書きは「寒中御見舞」とするとされています(高島屋「お年賀の正しい贈り方・マナー」)。自分が喪中の年は、年始回りを松の内明けから立春までにずらし、「寒中御見舞」として伺うのが基本です。
ただ、毎年決まった日程で取引先を回っている会社もあります。会社として毎年松の内に回っている場合は、例年の日程で伺い、「おめでとう」を言わず、手土産は「御年賀」にしない(のし紙なし・白無地の掛け紙など)会社もあります。社内の慣例に合わせてください。のし紙を付けずに渡す、表書きを「御挨拶」にする、といった方法をとる人もいます。
なお、親戚の家やご近所への私的な年始回りは、喪中には控えるのが一般的とされています。また、忌中であれば訪問は控え、電話やメールで挨拶し、忌明け後にあらためて伺うと無理がありません。
手土産の時期と表書き
年始回りの手土産について、高島屋の解説では次のように説明されています(高島屋「お年賀の正しい贈り方・マナー」)。
- お年賀は、1月2日から松の内までに持参するのが一般的で、元旦は避ける
- 通常は紅白5本蝶結びののし紙に「お年賀(御年賀)」と書く
- 松の内を過ぎた最初の挨拶は「寒中御見舞」として、立春までに訪問する
松の内の終わりは地域によって違います。高島屋は関東地方を1月7日まで、関西地方・山陰地方・名古屋を1月15日までとしています(高島屋「お年賀の正しい贈り方・マナー」)。自分の地域だけでなく、訪問先の地域の習わしも意識しておくと安心です。
掛け紙については、高島屋のお歳暮の解説で、喪中のときは紅白蝶結びの水引がついたのし紙ではなく、白無地の掛け紙を使うのが一般的とされています(高島屋「喪中にお歳暮を贈る際のマナー」)。これはお歳暮についての説明ですが、年始の手土産にも同じ考え方を当てはめるとよいでしょう。
また、取引先の会社が贈答品の受け取りを禁止していることもあります。高島屋の解説でも、お年賀を渡す前に受領禁止のルールがないか確認するよう勧めています(高島屋「お年賀の正しい贈り方・マナー」)。
1月の時期と、年始回りの手土産の表書き
- 元日年始の訪問は避けるのが一般的お年賀は1月2日からとされる
- 1月2日〜松の内通常は「御年賀」の時期自分か相手が喪中なら、この時期の訪問を避けるのが一般的
- 仕事始め〜1月中旬賀詞交歓会が多い時期会場では「おめでとう」を言い換える
- 松の内明け〜立春(2月4日ごろ)「寒中御見舞」として訪問・送付喪中の年の年始の挨拶はこの時期に
- 立春以降寒中見舞いの時期は過ぎる「余寒見舞い」とするのが一般的
訪問先での挨拶も「おめでとう」を外します。
旧年中は大変お世話になりました。
本年も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
相手(取引先の担当者)が喪中のとき
賀詞交歓会で会ったとき
喪中はがきや訃報で、相手が喪中だと知っている場合は、「おめでとう」を避けて「本年もよろしくお願いいたします」と挨拶します。宴席なので、お悔やみを長々と述べるのは控え、短いいたわりの言葉にとどめましょう。
昨年は大変でしたね。どうぞご無理なさらないでください。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年始回りで訪問するとき
相手が喪中の場合も、高島屋の解説にあるとおり、松の内を外して「寒中御見舞」として伺うのが基本です(高島屋「お年賀の正しい贈り方・マナー」)。会社の慣例で松の内に伺う場合も、担当者には「おめでとう」を避け、手土産は「御年賀」にせず白無地の掛け紙にするなどの配慮をすると安心です。相手がまだ忌中(四十九日前)であれば、訪問そのものを後ろにずらしましょう。
よくある疑問
喪中だと知っている人に会場で会ったら、お悔やみを言うべき?
葬儀への参列や香典などで、すでにお悔やみを伝えている相手なら、会場では「その節はありがとうございました」「その節は大変でしたね」程度で十分です。まだ伝えていない場合も、宴席なので短くひと言にとどめるのが無難です。
社長(代表者)本人が亡くなった年の賀詞交歓会は?
会社としてどうするかは、それぞれの会社の判断です。後任の代表者が出席し、故人が生前にいただいたご厚誼へのお礼を述べる、という考え方があります。社葬の有無や時期によっても事情が違うので、社内でよく相談してください。社長本人が亡くなった場合の年賀状の扱いは、仕事の年賀状の記事で触れています。
賀詞交歓会の会費や、受付での記帳は普段どおりでいい?
普段どおりでかまいません。記帳は会社名と役職・氏名で行います。代理で出席する場合は、代理の人の名前で記帳し、必要に応じて「代理」と書き添えます。
社内の新年会も同じ考え方?
会社の行事として開かれる新年会であれば、賀詞交歓会と同じく仕事の場として出席する人が多いようです。忌中で気持ちが追いつかない場合は、無理をせず欠席を伝えましょう。友人同士など私的な新年会の判断は、喪中のクリスマス・忘年会・新年会は参加してもいい?で解説しています。
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まとめ
喪中の賀詞交歓会と年始回りについて、ポイントを整理します。
- 賀詞交歓会は仕事の年始挨拶の場:忌明け後は本人の気持ち次第とされ、会社の立場で出席する人が多い
- 忌中は欠席か代理が無難:忌中の目安は仏式で四十九日、神式で五十日祭まで。欠席の理由は「私事都合」でよい
- 会場では「おめでとう」を言い換える:「旧年中はお世話になりました。本年もよろしくお願いいたします」で十分
- 言われた「おめでとう」には「本年もよろしく」で返す:喪中の説明はしなくてよい。乾杯は参加してよいという考え方が多い
- 年始回りは松の内を外し「寒中御見舞」として伺うのが基本:会社の慣例で松の内に伺うなら「おめでとう」は言わず、手土産は「御年賀」にしない。松の内の終わりは地域で違う
喪中に仕事の行事へ出るかどうかには、決まった答えがありません。だからこそ、仕事の関係はふだんどおりに保ちながら、言葉だけ少し変える、という形がいちばん無理のない方法です。迷ったときは、社内の上司や主催者にひと言相談してみてください。
