葬儀・お墓

忌引き休暇が年末年始と重なったら延びる?日数の数え方と会社への連絡を解説

木田健太郎

年の瀬に親が亡くなり、葬儀の準備に追われながら、ふと仕事のことが気になる。「正月休みと重なった忌引きはどうなるのだろう」「休み明けに延ばしてもらえるのか」「会社が閉まっているのに、誰に連絡すればいいのか」。そんなふうに迷う方もいるのではないでしょうか。

結論をお伝えします。会社員の忌引き(慶弔休暇)は法律で決まった休みではなく、日数も数え方も勤め先の就業規則しだいです。就業規則に「休日を含めて連続○日」とあれば正月休みの日も日数に入り、「休日を除いて○日」とあれば休み明けの勤務日から数えるので、実質的に延びます。国家公務員は、忌引の「連続する日数」を暦日(カレンダーどおりの日)で数えるので、年末年始の休日も日数に入ります。足りないときは、休み明けに年次有給休暇を足せるか会社に相談しましょう。

この記事では、就業規則のどこを見ればよいか、国家公務員の数え方の例、足りないときの対応、休み中の上司への連絡のしかたと例文をまとめます。年末年始の葬儀の日程や火葬場の休みについては、年末年始に家族が亡くなったらどうする?をご覧ください。

結論:忌引きと年末年始が重なったときの早見表

就業規則の書き方 正月休みの日 休み明けに延びる? まずやること
休日を含めて連続○日 日数に入る 延びないことがある 残りの日数を数える
休日を除いて○日/勤務日で○日 日数に入らない 延びる 数え始めの日を確認
数え方の記載がない わからない 会社の判断 人事・総務に確認
慶弔休暇がない ― ― 年休・欠勤を相談
国家公務員 暦日で数える 休日も日数に入る 所属の担当に確認
地方公務員 自治体の決まりによる 自治体による 所属の担当に確認

民間企業の忌引き(慶弔休暇)は法律で決まった休みではないため、日数と数え方は勤め先の就業規則で必ず確認してください。

そもそも忌引きは法律の休みではない

会社員の忌引きは「会社が決める特別休暇」

厚生労働省が公開しているモデル就業規則(就業規則を作るときのひな形)には、第30条に「慶弔休暇」があります。親族が亡くなったときの区分は、「配偶者、子又は父母が死亡したとき」と「兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき」の2つで、どちらも日数の欄は空欄です。

その解説には、慶弔休暇は労働基準法で必ず定めなければならないものではなく、各事業場で必要な期間を具体的に定めるように、と書かれています。同じ資料の【参考】でも、慶弔休暇などの特別休暇は「法律によって義務とされている休暇ではなく、企業が任意に設ける休暇制度」と説明されています(厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月版)」)。

つまり、「忌引きは何日か」「正月休みの日を数えるか」は、会社ごとに違います。インターネットで見た日数や数え方が、自分の会社にそのまま当てはまるとは限りません。

有給か無給かも就業規則しだい

モデル就業規則の第43条2項は、慶弔休暇などの期間を「無給」にするか「通常の賃金を支払う」にするかを選ぶ形になっています。解説でも、有給にするか無給にするかは各事業場で決めて就業規則に定めるように、とされています(同・第43条の解説)。お給料が出るかどうかも、あわせて確認しておきましょう。

年末年始の休みの期間も会社が決めている

同じモデル就業規則の第20条(休日)には「年末年始(12月 日~1月 日)」とあり、ここも日付が空欄です(同・第20条)。正月休みが何日から何日までかも会社ごとに決めるものなので、「自分の会社の休日」と「慶弔休暇の数え方」の2つを見る必要があります。

正月休みと重なったら延びる?就業規則の3つの書き方

就業規則(または慶弔休暇規程)の慶弔休暇の項目を開き、日数の横にどんな言葉が書かれているかを見てください。書き方によって、正月休みの日の扱いが変わります。

「休日を含めて連続○日」と書かれている場合

この場合は、正月休みの日も忌引きの日数に入ります。年末に取り始めると、日数の多くが正月休みと重なり、休み明けには残りがない、または少ないことがあります。

「休日を除いて○日」「勤務日で○日」と書かれている場合

この場合は、正月休みの日を数えません。休み明けの勤務日から数えることになるので、正月休みのあとに忌引きの日が残り、実質的に休みが延びます。

数え方が書かれていない場合

「○日」とだけ書かれていて、休日を含めるのかどうかが読み取れないこともあります。自分で決めつけず、人事・総務の担当者に「年末年始の休日も日数に含めますか」と聞いてみましょう。聞き方の例は、この記事の後半の例文にまとめています。

いつから数えるか(数え始めの日)も確認する

数え始めの日も、規程の書き方で変わります。「亡くなった日から」「亡くなった翌日から」「葬儀の日から」など、どの日を1日目にするかを確認してください。あわせて、「連続して取らないといけないか」「休み明けにずらして取れるか」も、規程に書かれていれば読んでおきましょう。

下の図は、同じ12月29日(火)から忌引きを取り始めた場合に、書き方によって出勤する日がどう変わるかを示した例です。

同じ12月29日からの忌引きでも、数え方で出勤日が変わる(例)

A:「休日を含めて連続5日」の場合△12/29(火)〜1/2(土)が忌引き。すべて正月休みと重なり、1/4(月)から出勤
B:「休日を除いて5日(勤務日で数える)」の場合○正月休みは数えない。1/4(月)〜1/8(金)が忌引きで、その次の出勤日から復帰
C:国家公務員・父母7日(暦日)の場合△12/29(火)〜1/4(月)の7日間。年末年始の休日が12/29〜1/3なら、勤務日で休めるのは1/4だけ。1/5(火)から出勤
A・Bは、年末年始の休みが12/29〜1/3・土日休み・忌引き5日・12/29から取り始めた、と仮定した説明用の例です。実際の日数・数え方・取り始めの日は、勤め先の就業規則で確認してください。

公務員はどう数える?国家公務員の例

国家公務員の忌引は「連続する日数」を暦日で数える

国家公務員(一般職)の忌引は、親族が亡くなった場合に「親族に応じて連続する日数の範囲内の期間(例:父母の場合は7日)」と決められています(人事院「一般職の国家公務員の休暇制度(概要)」)。

この「連続する日数」について、人事院の運用通知は「暦日によるものとする」としています(人事院「職員の勤務時間、休日及び休暇の運用について」第14)。暦日とは、カレンダーどおりの1日ずつのことです。土日や年末年始の休日も、忌引の日数に入るということになります。

また、葬儀のために遠くへ行く場合は、往復にかかる日数を加えた日数の範囲で取れることが、防衛省の休暇制度一覧表(職員向け)に示されています。

年末年始の休日と重なった例

たとえば、年末年始の休日が12月29日〜1月3日で、父が亡くなり12月29日(火)から忌引を使い始めた場合を考えます。7暦日なので、忌引は12月29日(火)〜1月4日(月)です。このうち勤務日にあたるのは1月4日(月)だけで、1月5日(火)から出勤する計算になります。

実際にどの日から使い始めるかは、所属の担当者に確認してください。

父母以外の日数と、地方公務員の場合

国家公務員の忌引の日数は、亡くなった親族ごとに決まっています。父母以外の日数は、所属の人事担当や規程で確認してください。

地方公務員の休暇は、地方公務員法にもとづいて各自治体の条例で定められ、特別休暇の日数は人事委員会規則などに任されています(例:広島市「職員の勤務時間、休暇等に関する条例」第1条・第14条)。国と同じとは限らないため、所属の人事担当に確認しましょう。

忌引きが足りないときにできること

休み明けに年次有給休暇を足す

忌引きで足りない分は、休み明けに年次有給休暇(年休)を続けて取れるかを相談します。

年休は、原則として働く人が希望した時季に与えるものですが、その時季に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合、会社は別の時季に変えることができます(労働基準法39条5項。厚生労働省「モデル就業規則」年次有給休暇の解説)。「必ず続けて取れる」と考えず、早めに上司に相談しておきましょう。

慶弔休暇がない・足りない会社では

慶弔休暇の制度がない会社や、日数が足りない場合は、年休を使うか、欠勤(お給料が出ない休み)として扱うかを人事・総務と相談します。モデル就業規則の第18条では、欠勤するときは事前に申し出て承認を受け、やむを得ず事前に申し出られなかったときは事後すぐに届け出て承認を得る、という例が示されています。ただし、どのような手続きにするかは各事業場で決めること、とされています(同・第18条の解説)。自分の会社の手続きを確認しましょう。

四十九日などで後日また休むとき

忌引きが終わったあとも、四十九日法要や納骨などで休みが必要になることがあります。その分は忌引きとは別に、年休などで休めるかを相談しましょう。法要の準備は四十九日法要の準備と費用相場で整理しています。

年末年始に身内が亡くなったときの、休みと連絡の流れ

家族が亡くなる
上司へ短く連絡する会社が休みでも、普段の連絡手段で
就業規則の慶弔休暇を確認日数・休日を数えるか・数え始め。わからなければ人事へ
休み明けに忌引きが残る?
残る

休み明けに忌引きを使う届出は規定どおりに
残らない・足りない

年次有給休暇を足せるか相談難しいときは欠勤の扱いを確認
休み明けに、慶弔休暇の届出や年休の申請を会社の決まりどおりに出します

年末年始で会社が休みのときの連絡のしかた

まず直属の上司へ、早めに短く

会社が閉まっていても、直属の上司には電話・メール・チャットなど、普段使っている連絡手段で早めに伝えておきましょう。緊急連絡先や連絡網が決まっている会社は、そちらに従います。正式な届出は休み明けでも、亡くなったことと休む見込みは先に一報を入れておきましょう。

伝えること

  • 誰が亡くなったか(父・母など続柄)
  • いつ亡くなったか
  • 通夜・葬儀の日程(決まっていれば)
  • 休む予定の期間(見込みでよい)
  • 休み中の連絡先

香典や供花を辞退する方針が決まっていれば、それも添えておきましょう。慶弔見舞金があるか、届出にどんな書類が必要かは、会社の規定で確認してください。

上司へのメール・チャットの例文(休み中)

件名:忌引き休暇のご相談(氏名)

お休み中に失礼いたします。〇月〇日に父が亡くなりました。
通夜は〇日、葬儀は〇日の予定です。
休み明けの〇日から〇日まで、忌引き休暇をいただきたくご相談いたします。
日数の数え方や手続きは、休み明けに人事の方に確認いたします。
急ぎのご連絡は携帯(〇〇〇)までお願いいたします。

電話で伝えるときの例文

お休みのところすみません。〇〇です。
昨日、父が亡くなりました。
葬儀の日程が決まりましたら、あらためてご連絡します。
休み明けは、お休みをいただくことになりそうです。

人事・総務に数え方を確認するときの例文

慶弔休暇について確認させてください。
日数には、年末年始の休日も含まれますか。
数え始めは、亡くなった日からでしょうか。
足りない場合、年次有給休暇を続けて使うことはできますか。

休み明けにやること

休み明けには、慶弔休暇の届出や年休の申請を、会社の決まりどおりに出します。役所や年金などの手続きは葬儀後にやること一覧、取引先への年賀状や年始のあいさつの扱いは喪中でも仕事の年賀状は出していいか?を参考にしてください。

よくある疑問

正月休みの前日に亡くなった場合、忌引きはいつから?

数え始めの日は就業規則の書き方で決まります。「亡くなった日から」なのか「翌日から」なのかを規程で確認し、書かれていなければ人事・総務に聞きましょう。国家公務員の場合は、前の章のとおり暦日で連続して数えます。

正月休み中に葬儀が全部終わったら、忌引きは取れない?

就業規則が「休日を含めて連続○日」の形なら、正月休みのうちに日数を使い切り、休み明けには残らないこともあります。「休日を除いて」「勤務日で」の形なら、休み明けに取れることがあります。葬儀が終わったかどうかではなく、規程の書き方で確認してください。

パート・アルバイトにも忌引きはある?

慶弔休暇は法律で義務とされている休みではなく、会社が任意に設けるものです(厚生労働省「モデル就業規則」)。ただし、正社員に慶弔休暇がある会社では、パートや有期契約の人にも同じように与えることが国の指針で求められています。週2日勤務の人などは、勤務日をずらす形で対応し、ずらすのが難しいときに慶弔休暇を与える、という例も「問題とならない」とされています(厚生労働省「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」)。自分の場合の扱いは、勤め先の就業規則で確認するか、人事・総務に聞いてみましょう。

義理の親(配偶者の父母)の場合は?

モデル就業規則の慶弔休暇では、「配偶者の父母」は兄弟姉妹・祖父母と同じ区分に例として挙げられていますが、日数は空欄で、会社が決める形です。自分の会社の規程で、義理の親がどの区分に入り、何日なのかを確認してください。

まとめ

忌引きと年末年始が重なったときのポイントを整理します。

  • 法律の休みではない:会社員の忌引き(慶弔休暇)は、日数も数え方も勤め先の就業規則しだい
  • 書き方で変わる:「休日を含めて連続○日」なら正月休みも日数に入る。「休日を除いて○日」なら休み明けに延びる
  • 国家公務員:忌引は暦日で連続して数える(父母は7日)。年末年始の休日も日数に入る
  • 足りないとき:休み明けの勤務日に年休を足せるか、早めに上司・人事に相談する
  • 連絡:会社が休みでも、上司には早めに短く伝える。届出や書類は休み明けに規定どおり出す

慌ただしい年末年始は、気持ちの整理もつかないまま、葬儀と仕事のことを同時に考えなければなりません。まずは就業規則の慶弔休暇の1行を確かめ、上司に短く一報を入れておきましょう。葬儀の段取りについては、年末年始に家族が亡くなったらどうする?もあわせてご覧ください。

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義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
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