受験と葬儀が重なったらどうする?受験生の参列の判断と共通テスト・高校入試の追試験を解説
受験を目前にしたこの時期に、子どもの祖父母が亡くなった。孫として葬儀に出させてあげたいけれど、試験の日はすぐそこ。もし葬儀の日と試験の日が重なったら、どうすればいいのだろう——。親としても、受験生本人としても、心が揺れる場面です。
結論をお伝えします。受験生が葬儀に出るかどうかを定めた決まりはありません。試験との日程の重なり方、その試験に追試験があるか、移動の負担、故人との関係と本人の気持ちを並べて、家族で決めることになります。
そして、試験日と葬儀が重なっても、追試験という道がある試験があります。大学入学共通テスト(令和9年度)は、追試験の対象の例に「両親等の危篤・死亡」を挙げています(大学入試センター 令和9年度 受験案内)。祖父母の場合に対象となるかは「受験上の注意」で確認が必要です。公立高校入試の追試験は都道府県ごとに違い、たとえば宮城県は令和7年度入試で「忌引き」を対象に挙げていました(宮城県「追試験等について」。今年度は県の最新の案内で確認)。この記事では、参列するかどうかの考え方、共通テストと高校入試の追試験の対象と確認先、親族への伝え方と、出られなかったときのお別れの形まで整理します。
結論:受験と葬儀が重なったときの早見表
| 状況 | 考えられる選択肢 | まずやること |
|---|---|---|
| 葬儀が試験の数日前 | 短時間の参列も選べる | 移動時間と体調を家族で確認 |
| 通夜と告別式の片方が試験と重なる | 重ならない方だけ出る | 日程を書き出して比べる |
| 試験当日と葬儀が重なる(共通テスト) | 追試験の対象なら選べる(祖父母などは要確認) | 「受験上の注意」で追試験の対象と申請方法を確認 |
| 試験当日と葬儀が重なる(公立高校) | 追試験の対象か確認 | 在籍する中学校にすぐ相談 |
| 試験当日と葬儀が重なる(私立・大学の個別試験) | 学校ごとに違う | 募集要項と入試の窓口で確認 |
| 葬儀に出ないと決めた | 後日お参り・四十九日に参列 | 親族へは親から短く伝える |
※受験生が葬儀に出るかどうかを定めた決まりはありません。追試験の対象や申請方法は試験ごと・年度ごとに違うので、必ず最新の募集要項・受験上の注意で確認してください。
受験生は葬儀に出るべき?考えるときの4つの材料
決まったルールはなく、家族ごとの判断になる
孫やきょうだいなど、身内の葬儀に誰が出席しなければならないかを決めた法律や公的な基準はありません。受験生についても同じです。「出ないと失礼」「受験生なのだから出なくて当然」と、どちらか一方に決めつける必要はありません。
迷ったときは、次の4つの材料を順に並べてみると、家族で話し合いやすくなります。
材料1:試験と葬儀の日程がどう重なるか
葬儀の日程が決まったら、すぐに紙やスマホのメモに書き出しましょう。通夜・告別式・火葬のそれぞれの日時と、試験日、試験の前日の移動や下見の予定を並べると、「どこが本当にぶつかるのか」が見えてきます。
試験当日とは重ならなくても、前日の夜に遠方の通夜に出ると、移動で寝る時間が削られることもあります。日付だけでなく、時間と移動まで含めて確認するのがポイントです。
材料2:その試験に追試験があるか
試験と葬儀がまさに重なったとき、判断を大きく左右するのが追試験の有無です。共通テストには追試験の制度があり、対象の例に「両親等の危篤・死亡」が挙げられています(祖父母などは要確認。次の章で詳しく説明します)。公立高校入試は都道府県ごと、私立高校や大学の個別試験は学校ごとに扱いが違います。
材料3:移動の負担と体調
葬儀の会場が遠い場合は、移動時間、宿泊が必要かどうか、受験生の体調への影響を考えます。冬の受験シーズンは、かぜやインフルエンザなどが気になる時期でもあります。
大学入試センターの受験案内でも、インフルエンザなどの感染症にかかって治っていない場合は受験できず追試験を申請すること、試験当日に発熱・咳などの症状があり体調が万全でない場合は無理に受験せず追試験を申請することが書かれています(大学入試センター 令和9年度 受験案内 D 試験)。葬儀に出る場合も、本人の体調を最優先に考えておきましょう。
材料4:故人との関係と、本人の気持ち
よく可愛がってもらった祖父母なら、受験生本人が「どうしてもお別れしたい」と思うこともあります。その気持ちがあるなら、短い時間でも参列できる形がないか、家族で探してみてください。
反対に、本人が「今は試験に集中したい」と考えることもあります。それも、故人を大切に思っていないということではありません。気持ちが落ち込んで勉強が手につかないときは、担任や塾の先生など、身近な大人に話してみるのもひとつの方法です。
受験と葬儀が重なったときの判断の流れ
共通テストと葬儀が重なったら:追試験の対象と確認先
追試験の対象に「両親等の危篤・死亡」がある
大学入試センターの「令和9年度 受験案内」では、追試験の対象者を次のように定めています(大学入試センター 令和9年度 受験案内 D 試験)。
- ア 病気(インフルエンザ・かぜなどを含む)・けがにより受験できない人
- イ 試験場に向かう途中の事故により受験できない人
- ウ その他やむを得ない事由(両親等の危篤・死亡、自宅の火災等)により受験できない人
つまり、両親等の危篤・死亡などで本試験を受けられないときに、追試験という道が用意されているということです。
祖父母の場合は「受験上の注意」で確認する
受験案内に例として書かれているのは「両親等」です。祖父母が亡くなった場合にこの対象に入るかどうかは、受験案内の文面だけでははっきりしません。自己判断で「大丈夫だろう」と決めず、必ず確認してください。
追試験の受験申請の方法などの詳細は、12月上旬に大学入試センターのウェブサイトに掲載される「受験上の注意」に明示すると受験案内に書かれています(大学入試センター 令和9年度 受験案内 D 試験)。受験生のいる家庭は、12月上旬以降に一度目を通しておくと、いざというときに慌てずにすみます。読んでもわからないときは、大学入試センターの問い合わせ窓口に早めに相談しましょう。
追試験の日程と注意点(令和9年度)
令和9年度の共通テストの日程は次のとおりです(大学入試センター「令和9年度試験」)。
- 本試験:令和9年1月16日(土)・17日(日)
- 追試験・再試験:令和9年1月23日(土)・24日(日)
受験案内には、追試験について次のことも書かれています(大学入試センター 令和9年度 受験案内 D 試験)。
- 出題教科・科目の出題方法や試験時間などは、本試験に準じる
- 追試験の試験場は、原則として全国を2地区に分け、地区ごとに設定する(試験場は大学入試センターのウェブサイトで確認)
- 追試験についての再試験・追試験はない
- 再試験を1月23日・24日より後に行う必要が出た場合は、追試験も再試験と同じ日に行う
全国を2地区に分けて会場を設けるということは、追試験の会場は、本試験の会場より遠くなることがあります。また、追試験を受けられなかった場合の追試験はありません。追試験を選ぶなら、その2日間は確実に受けられるよう、移動や宿泊も含めて予定を組んでおきましょう。
「やむを得ない事由」で追試験が認められた人もいる
文部科学省の資料によると、令和5年度の共通テストでは追試験の受験許可者が3,893人おり、そのうち「やむを得ない事由」による許可は26人でした(文部科学省「令和5年度大学入学共通テスト実施概要」)。なお、この年は追試験の試験場が例年の2会場から47都道府県・50試験場に広げられていた年です(同資料)。
人数は多くありませんが、病気やけが以外の事情でも追試験が認められている、という事実は知っておいて損はありません。
大学の個別試験(2次試験・私立大学)は大学ごと
共通テストのあとに続く国公立大学の2次試験や、私立大学の入試の追試験は、共通テストとは別の扱いです。追試験があるかどうか、どんな事情が対象になるかは大学ごとに違うので、志望校の募集要項を読み、わからなければ入試の窓口に問い合わせてください。
高校入試と葬儀が重なったら:都道府県で違う追試験
公立高校の追試験は、県ごとに対象の書き方が違う
公立高校の入試は都道府県ごとに行われるため、追試験の対象や手続きも県ごとに違います。ここでは2つの例を紹介します。
例1:宮城県(令和7年度入試の案内)
宮城県は、令和7年度の公立高校入試の案内で、追試験の対象として「感染症への罹患」「自然災害」「試験会場に向かう途中の事件・事故に巻き込まれた場合」などと並んで「忌引き」を挙げていました。追試験の高校への連絡や申請は中学校を通して行い、対象になる場合は「すぐに在籍する中学校へ相談」するよう案内しています(宮城県「追試験等について(令和7年度宮城県公立高等学校入学者選抜)」)。これは令和7年度入試の例です。今年度の扱いは、最新年度の案内で確認してください。
例2:東京都(令和8年度の都教育委員会の発表)
東京都は、都立高校の追検査の対象を「インフルエンザ等の学校感染症に罹患するなどし、受検することができなかった者等」と書いています(東京都教育委員会「令和8年度 都立高校入試 追検査の申請状況」)。この発表文からは、忌引きが対象になるかどうかは読み取れません。東京都で受験する場合は、募集要項を確認し、中学校の先生に相談しましょう。
まず在籍する中学校の先生に相談する
宮城県(令和7年度)では、追試験の申請は中学校を通して行うしくみでした(宮城県「追試験等について(令和7年度宮城県公立高等学校入学者選抜)」)。訃報を受け、葬儀の日程がわかった時点で、できるだけ早く担任の先生に連絡しましょう。「試験と重なりそうだ」という段階で相談しておけば、手続きが必要になったときに慌てずにすみます。
私立高校・中学受験は学校ごと
私立高校や中学受験の追試験の有無は、学校によって違います。受験する学校の募集要項を確認し、書かれていなければ学校の入試の窓口に問い合わせてください。併願している学校がある場合は、それぞれの学校に確認が必要です。
試験の種類ごとの確認先
- 大学入試センター「受験上の注意」(12月上旬に掲載予定)
- わからないときは大学入試センターの問い合わせ窓口へ
- 都道府県の募集要項・追試験の案内
- 在籍する中学校の先生
- 受験する学校の募集要項
- 受験する学校の入試の窓口
- 各大学の募集要項
- 各大学の入試の窓口
葬儀に出るなら:受験生の負担を減らす参列の形
通夜だけ・告別式だけ出る
通夜と告別式の両方に出なければならない、という決まりはありません。試験の日程から遠い方、移動の負担が少ない方だけに出るという選び方もあります。日程を書き出した表を見ながら、家族で決めてください。
焼香だけで帰る
時間が取れないときは、焼香だけを済ませて先に失礼する形もあります。途中で退席するときの声のかけ方やマナーは、お葬式を途中退席するのは失礼?焼香だけで帰る場合のマナーと言い方で解説しています。
服装は親族に確認しておく
受験生が参列するときの服装に迷ったら、喪主や親族に「〇〇(子ども)は何を着ていけばいいか」と事前に聞いておくと安心です。急いで用意しなくてすむよう、日程がわかった時点で確認しておきましょう。
葬儀に出ないと決めたら:親族への伝え方と後日のお別れ
親族へは親から短く伝える
受験生が参列しないと決めたら、親から喪主や親族に伝えます。理由は「試験の日と重なってしまい」で十分です。長い説明や言い訳をする必要はありません。
【電話で伝えるとき】
〇〇(子ども)は、ちょうど入試の日と重なってしまい、今回は参列できません。試験が終わったら、改めてお参りさせていただきます。
【LINE・メッセージで伝えるとき】
このたびはご愁傷さまでございます。〇〇は試験の日程と重なり、今回は失礼させていただきます。落ち着いたら必ずお参りに伺います。
本人からのお別れの形
葬儀に出られなくても、お別れの気持ちを形にする方法はあります。たとえば、短い手紙を書いて、参列する家族に託し、棺に入れてもらえるか相談する方法です。出発前に、自宅で故人の写真に手を合わせるだけでも、気持ちの区切りになることがあります。
【受験生が書く手紙の書き出し例】
おじいちゃん(おばあちゃん)へ。
お葬式に行けなくてごめんなさい。
〇〇してくれたこと、ずっと覚えています。
試験、がんばってきます。終わったら会いに行きます。
「〇〇してくれたこと」の部分には、本人が覚えている思い出を自由に書いてください。
試験が終わってからお参りする
お別れの機会は葬儀だけではありません。試験が終わったら、故人の家の仏壇や遺影の前で手を合わせたり、四十九日法要に参列したりすることもできます。四十九日法要の流れや準備は、四十九日法要の準備と費用相場でまとめています。
受験と忌中が重なるときの過ごし方
受験の時期が忌中(亡くなってから四十九日などまでの期間)と重なることもあります。忌中の考え方や過ごし方は、忌中期間にやってはいけないことは何か?で詳しく解説しています。
合格祈願のお守りや絵馬、神社へのお参りをどうするか気になる方は、喪中・忌中に合格祈願はしていい?お守りと絵馬の受け方と郵送祈願をご覧ください。
よくある疑問
祖父母ではなく、おじ・おばが亡くなった場合は?
葬儀に出るかどうかは、祖父母の場合と同じく決まりはありません。共通テストの追試験については、受験案内の例示が「両親等」なので、おじ・おばの場合に対象となるかも、12月上旬に掲載される「受験上の注意」で確認してください(大学入試センター 令和9年度 受験案内 D 試験)。高校入試は、在籍する中学校に相談しましょう。
学校の定期テストや模試と葬儀が重なったら?
定期テストの扱いは学校ごとのルールによるので、担任の先生に相談してください。模試は入試の追試験とは関係がなく、扱いは主催する会社や塾によって違います。申し込んだ模試の案内を確認しましょう。
受験生本人も火葬場まで行くべき?
決まりはありません。告別式のあとに火葬場まで行くと、そのぶん時間がかかります。移動や時間の負担と本人の気持ちを考えて、家族で決めてください。
親だけ葬儀に出て、受験生は留守番でもいい?
問題ありません。親が受験の付き添いをするか、葬儀に出るかも含めて、家族で役割を分けて考えましょう。両親のどちらかが葬儀へ、もう一人が受験生のそばに、という分け方もあります。子どもの予定と葬儀が重なったときの考え方は、喪中・忌中に子どもの発表会は出ていい?葬儀と重なった時の判断も参考になります。
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まとめ
受験と葬儀が重なったときのポイントを整理します。
- 決まりはない:受験生が葬儀に出るかどうかを定めた決まりはない。日程・追試験の有無・移動・本人の気持ちで判断する
- 共通テスト:追試験の対象に「両親等の危篤・死亡」がある。祖父母の扱いと申請方法は12月上旬の「受験上の注意」で確認
- 令和9年度の追試験:1月23日・24日。会場は原則全国2地区で、本試験の会場より遠くなることがある
- 公立高校入試:県ごとに違う。宮城県は令和7年度入試で忌引きを対象に挙げていた(宮城県「追試験等について」)。今年度は最新の案内で確認し、まず在籍する中学校に相談
- 出ないと決めたら:親族へは親から短く伝え、試験後のお参りや四十九日法要でお別れする
お別れの形は、葬儀に出ることだけではありません。短い時間だけ参列する、手紙を託す、試験が終わってから手を合わせに行く。どの形でも、お別れの気持ちは伝えられます。本人の気持ちと受験の両方を大切にできる形を、家族で話し合って見つけてください。
