相続・遺産手続き

相続手続きの流れと期限一覧【亡くなってから何をいつまでにやるか】

相続手続きの書類イメージ
木田健太郎

親が亡くなった直後は、悲しみに暮れている間にも次々とやるべき手続きが押し寄せてきます。葬儀が終わって一息ついたころに「相続の手続きって何をすればいいの?」と慌て始める方が多いのですが、相続には「3ヶ月」「4ヶ月」「10ヶ月」という重要な期限があります。

この記事では、私が実際に調べた相続手続きの流れと期限を一覧表で整理します。「期限を知らなかったせいで損をした」という話を周囲で何件も聞いたので、まずこれだけは押さえてほしいと思います。

相続手続きの全体スケジュール一覧

時期 手続き内容 期限・目安
死亡当日〜1週間 死亡診断書の受け取り・死亡届の提出・葬儀の手配 死亡後7日以内に死亡届
死亡後すぐ〜1ヶ月 遺言書の有無の確認・相続人の確認・財産の調査開始 できるだけ早く
死亡後3ヶ月以内 相続放棄限定承認の手続き ⚠️ 3ヶ月以内(厳守)
死亡後4ヶ月以内 故人の所得税の準確定申告 ⚠️ 4ヶ月以内(収入があった場合)
死亡後6〜10ヶ月 遺産分割協議・各種名義変更 できるだけ早く(10ヶ月までに)
死亡後10ヶ月以内 相続税の申告・納税 ⚠️ 10ヶ月以内(相続税がかかる場合)

死亡直後(1週間以内)にやること

死亡診断書の受け取り

病院・施設・自宅(医師の訪問)で亡くなった場合、医師が死亡診断書を作成します。この書類は相続手続き全般で必要になるため、複数枚コピーしておくことを強くおすすめします(原本は役所への提出で1枚消費します)。

死亡届の提出(7日以内)

死亡診断書と合わせて「死亡届」を記入し、死亡した場所・亡くなった人の本籍地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役場に提出します。7日以内という期限があります(国外での死亡の場合は3ヶ月以内)。

死亡届を提出すると「火葬許可証」が交付され、火葬・埋葬ができるようになります。葬儀社が代行してくれることが多いです。

銀行口座の凍結に注意

銀行が死亡の事実を知ると、故人の口座が凍結されます。葬儀費用など急ぎの支出がある場合は、死亡を銀行に知らせる前に必要な費用を確認しておきましょう。2019年の法改正により、凍結後でも「仮払い制度」で一部引き出せるようになっています(詳細は「死亡後の銀行口座凍結とは?」を参照)。

死亡後3ヶ月以内:相続放棄の期限(最重要)

なぜ3ヶ月が重要なのか

相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述しなければなりません。この期限を過ぎると「単純承認」したとみなされ、故人に借金があった場合でも引き継ぐことになります。

注意したいのは、「3ヶ月」の起算点は「親が亡くなった日」ではなく「相続の開始を知った日」だという点です。遠方に住む親戚が後から相続人だと知った場合など、起算点がずれることがあります。

3ヶ月以内にやること:財産と負債の調査

相続放棄をするかどうかを決めるためには、プラスの財産とマイナスの負債の両方を把握する必要があります。

負債の調べ方:

  • 信用情報機関(CIC・JICC)への照会(本人死亡後は相続人が申請可)
  • 自宅の郵便物(督促状・請求書がないか確認)
  • 銀行の残高証明書と借入状況の確認
  • 固定資産税の納税通知書(不動産の把握)

遺言書の確認

遺言書がある場合、相続の分配方法が変わります。公正証書遺言は公証役場で検索できます。自筆証書遺言は家庭裁判所で「検認」手続きが必要です(開封せずに持参すること)。

参考:裁判所:遺言書の検認

死亡後4ヶ月以内:準確定申告

準確定申告が必要なケース

故人が生前に給与以外の収入(年金・不動産収入・事業収入など)があった場合、または給与収入が2,000万円超だった場合、死亡した年の1月1日から死亡日までの所得について確定申告(準確定申告)が必要です。

期限は死亡後4ヶ月以内。相続人が連署して税務署に申告します。

年金受給者の場合の注意

公的年金だけの収入で年金額が400万円以下の場合は、原則として確定申告不要です。ただし、亡くなった年に還付金が発生する場合は、申告した方が得になることがあります。税理士または税務署に確認しましょう。

死亡後6〜10ヶ月:遺産分割と名義変更

相続人の確定と戸籍謄本の収集

相続人を確定するためには、故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を収集する必要があります。結婚・離婚・養子縁組などで戸籍が複数に分かれていることがあり、これが意外と手間がかかります。

収集方法:各市区町村の役場で請求(郵送請求も可)。1通450〜750円程度。法定相続情報証明制度(法務局)を使うと、一枚の証明書で各種手続きができ便利です。参考:法務局:法定相続情報証明制度

遺産分割協議

遺言書がない場合、相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合います。これが遺産分割協議です。相続人全員が合意しないと協議は成立しません。一人でも合意しない相続人がいる場合、調停・審判が必要になります。

分割の方法:

  • 現物分割:財産をそのままの形で分ける(不動産はAさん、預金はBさんなど)
  • 換価分割:財産を売却してお金を分ける(実家を売って現金で分けるなど)
  • 代償分割:一人が財産を相続し、他の相続人に現金を払う

各種名義変更の手続き

遺産分割協議が終わったら、各財産の名義変更・解約をします。

財産の種類 手続き先 主な必要書類
預貯金 各金融機関 戸籍謄本一式・遺産分割協議書・印鑑証明書
不動産 法務局 戸籍謄本一式・遺産分割協議書・固定資産税評価証明書
株式・投資信託 証券会社 証券会社所定の書類・戸籍謄本一式
自動車 陸運局 車検証・戸籍謄本・遺産分割協議書
生命保険 保険会社 死亡診断書・受取人の本人確認書類

死亡後10ヶ月以内:相続税の申告・納税

相続税がかかる条件

相続税は、遺産総額が「基礎控除額」を超える場合にかかります。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が配偶者と子2人の場合:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円が基礎控除額。遺産総額がこれを超えた場合のみ相続税が発生します。

国税庁の統計では、相続税の申告が必要なのは全体の約9%程度です。多くの方には相続税はかかりません。詳細は「相続税はいくらからかかる?」をご覧ください。

期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が発生

相続税の申告期限(10ヶ月)を過ぎると、延滞税(年7.3〜14.6%)や無申告加算税(15〜30%)が課されます。必ず期限内に申告・納税を完了させましょう。

よくある疑問と注意点

Q: 相続手続きをどこに相談すればいい?

  • 弁護士:相続人間の揉め事・遺言無効の争いなど、紛争がある場合
  • 司法書士:不動産の名義変更・相続放棄の手続き
  • 税理士:相続税の申告
  • 行政書士:戸籍収集・遺産分割協議書の作成
  • 銀行・信託会社:財産全体の管理・手続きを一括依頼したい場合(費用は高め)

Q: 相続放棄をするとどうなる?

相続放棄をすると「最初から相続人でなかった」とみなされ、プラスの財産もマイナスの財産も受け取りません。借金が多い場合に有効な手段ですが、次の順位の相続人(親・兄弟姉妹等)に相続権が移る点に注意が必要です。詳細は「相続放棄の手続き方法と期限」を参照してください。

まとめ:期限を忘れないためのチェックリスト

相続手続きで最も大切なのは「期限を守ること」です。以下のチェックリストを活用してください。

  • ☑ 死亡後7日以内:死亡届の提出
  • ☑ 死亡後なるべく早く:遺言書の有無確認・財産と負債の調査開始
  • ☑ 死亡後3ヶ月以内:相続放棄する場合は家庭裁判所に申述
  • ☑ 死亡後4ヶ月以内:準確定申告(必要な場合)
  • ☑ 死亡後10ヶ月以内:相続税の申告・納税(対象者のみ)
  • ☑ 余裕を持って:遺産分割協議・名義変更(法律上の期限はないが早めに)

一人で全部やろうとせず、司法書士・税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。初回相談無料の事務所も多いので、まずは相談だけでもしてみてください。

ABOUT ME
家族の終活ノート
家族の終活ノート
終活ブロガー
義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
記事URLをコピーしました