年金受給者が死亡したときの手続き|停止・未支給年金・遺族年金をわかりやすく解説

木田健太郎

義祖父が亡くなったとき、葬儀の準備に追われながら「年金の手続きはいつまでにやればいいんだろう?」と不安になりました。調べてみると、年金の停止手続きには14日以内(または10日以内)という期限があり、手続きを怠ると過払いが発生して後から返還を求められることもあるとわかりました。

また、「亡くなった月の年金はどうなるのか」「遺族年金は誰がもらえるのか」など、知らないと損をする制度もあります。この記事では、年金受給者が亡くなったときにやるべき手続きを、期限・窓口・必要書類まで具体的に解説します。

まず知っておくべき「年金の受け取りの仕組み」

手続きを理解するために、まず年金の支払いサイクルを押さえておきましょう。

  • 年金は偶数月の15日に、前2ヶ月分がまとめて振り込まれます
  • 例:6月15日に振り込まれる年金は「4月分・5月分」
  • 年金は「その月の末日まで生きていれば、その月の分が支給される」というルール

たとえば5月20日に亡くなった場合、5月分の年金は受け取る権利があります。ところが、次の6月15日の振込は「4月分と5月分」なので、この2ヶ月分は正当に受け取れます。問題になるのは、手続きをしないまま8月分以降も振り込まれ続けるケースです。

死亡後に必要な年金手続きは3種類

大きく分けると、以下の3つの手続きが必要です。

手続き 内容 期限
①年金受給停止の届出 年金の振込を止める手続き 死亡後14日以内(国民年金)または10日以内(厚生年金)
②未支給年金の請求 亡くなった時点で未払いになっている年金を遺族が受け取る手続き 死亡後5年以内(時効あり)
③遺族年金の請求 要件を満たす遺族が年金を受け取るための申請 できるだけ早く(こちらも5年の時効あり)

①年金受給停止の届出【期限:14日または10日以内】

提出先と期限

日本年金機構の規定によると、年金受給者が死亡した場合の届出先と期限は以下のとおりです。

年金の種類 届出先 期限
国民年金のみ受給 市区町村役場の年金窓口 死亡後14日以内
厚生年金・共済年金を含む 年金事務所または年金相談センター 死亡後10日以内

実際には、葬儀の準備や死亡届の提出などで忙しく、10〜14日以内に全ての手続きが終わらないこともあります。期限を過ぎても手続き自体はできるので、気づいた時点ですみやかに動きましょう。ただし、その間に振り込まれた年金は後日返還が必要になります。

必要書類

  • 年金受給権者死亡届(年金事務所・役場で入手または日本年金機構のサイトからダウンロード)
  • 故人の年金証書
  • 死亡を証明する書類(死亡診断書のコピーまたは住民票の除票)
  • 手続きをする人の身分証明書・印鑑

なお、マイナンバーが年金と連携されている場合は、死亡届が提出されると自動的に停止処理がされるケースもあります。ただし確実ではないため、窓口への届出は行っておくことをおすすめします。

年金証書が見つからない場合

年金証書を紛失していても手続きは可能です。年金事務所に「年金証書なし」で相談すれば対応してもらえます。基礎年金番号(年金手帳に記載)があれば確認できます。

②未支給年金の請求【知らないと5年で時効】

未支給年金とは何か

亡くなった時点で「まだ支払われていない年金」のことを未支給年金といいます。年金は後払いのため、亡くなった月までの年金が必ず未払いとして残ります。

たとえば8月10日に亡くなった場合:

  • 直近の振込(8月15日):6月分・7月分を受け取る(これは正当な受給)
  • 未支給年金:8月分(亡くなった月の分)が未払い → 遺族が請求できる

誰が請求できる?

未支給年金を請求できる遺族の範囲と優先順位は、日本年金機構が定めており、以下の順番で1番上の人が請求できます。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. 上記以外の三親等以内の親族

ただし、死亡時に生計を同じくしていた(同居または生活費を主として故人に頼っていた)ことが条件です。

未支給年金は相続財産ではない

重要なポイントとして、未支給年金は相続財産ではありません。請求できる遺族が「固有の権利」として受け取るもので、相続税の課税対象にもなりません。ただし、請求した遺族の一時所得として所得税の対象になります(他の一時所得と合算して50万円の控除を超えた場合)。

請求先・必要書類

  • 請求先:年金事務所または年金相談センター
  • 必要書類:未支給【年金・保険給付】請求書、故人と請求者の関係を証明する戸籍謄本、故人の住民票の除票、請求者の住民票、請求者の金融機関の通帳

③遺族年金の請求【配偶者・子がいる場合は必ずチェック】

遺族年金とは

年金を受け取っていた(または受け取る資格があった)人が亡くなったとき、一定の要件を満たす遺族が受け取れる年金です。大きく2種類あります。

種類 対象 受取額の目安
遺族基礎年金 子のある配偶者、または子(18歳年度末まで) 年額816,000円+子の加算
遺族厚生年金 厚生年金加入者の配偶者・子・父母・孫・祖父母 故人の報酬比例部分の3/4

遺族基礎年金の受給要件

日本年金機構の定める主な要件は以下のとおりです。

  • 故人が国民年金の被保険者であった、または老齢基礎年金の受給者であった
  • 死亡した月の前々月までの保険料納付済期間が3分の2以上(直近1年間に滞納がなければOKという特例もあり)
  • 子のある配偶者、または子が請求できる(「子」は18歳になった年度末まで。障害のある場合は20歳まで)

遺族厚生年金の受給要件

厚生年金加入中に亡くなった場合や、老齢厚生年金を受け取っていた場合に支給されます。配偶者・子・孫・父母・祖父母に支給されますが、受給できる人の優先順位があります(子のある配偶者が最優先)。

高齢の親が亡くなった場合の遺族年金

老齢年金を受け取っていた方が亡くなった場合、配偶者(妻・夫)は自分の年金と遺族年金の選択または併給を検討する必要があります。どちらが有利かは個人の年金額によって異なるため、年金事務所で相談することをおすすめします。

よくある疑問Q&A

Q. 死後に振り込まれた年金は使ってしまっていい?

使用は控えてください。停止手続きが完了するまでの間に振り込まれた年金は、後日日本年金機構から返還を求められます。振込口座をそのまま使っているケースでは、後日引き落とされることもあります。

Q. 手続きは誰がやってもいい?

代理人(家族)による手続きが可能です。委任状は不要な場合が多いですが、窓口で確認してください。

Q. 年金事務所が遠い場合は?

郵送での手続きも可能です。また、ねんきんネット(日本年金機構のオンラインサービス)でも一部の手続きができます。

Q. 年金以外にも停止が必要なものは?

介護保険料の停止(市区町村)、健康保険の資格喪失手続きなども必要です。葬儀後にやることの全体像は葬儀後にやること一覧の記事でまとめています。

手続きの窓口と連絡先まとめ

手続き 窓口 連絡先
国民年金の停止 市区町村役場 お住まいの市区町村
厚生年金の停止・未支給・遺族年金 年金事務所 0570-05-1165(ねんきんダイヤル)
共済年金の停止 各共済組合 加入していた共済組合

まとめ:まずは年金事務所への連絡から

年金受給者が亡くなったときの手続きは、①停止届・②未支給年金・③遺族年金の3つを押さえれば大丈夫です。

今日からできる一歩:

  • 故人の年金証書と年金手帳(基礎年金番号)の保管場所を確認しておく
  • 年金の種類(国民年金か厚生年金か)を把握しておく
  • 遺族年金の受給資格がある可能性がある場合は、早めに年金事務所に相談する

なお、年金の手続きと並行して進める必要がある相続手続き全体の流れについても、あわせて確認しておくことをおすすめします。

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家族の終活ノート
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義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
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