相続税はいくらからかかる?計算方法と基礎控除をわかりやすく解説
「相続税って、どのくらいからかかるの?」——これは、終活・相続の話をするとき必ずといっていいほど出てくる質問です。正直に言うと、私も最初は「財産がある人には全員かかる」と思っていました。
でも調べてみると、相続税の申告が必要なのは全体の約9%(国税庁の統計より)。実は多くの方にとって、相続税は「関係のない話」なのです。この記事では、相続税がかかる条件・計算方法・税率・使える特例をわかりやすく解説します。
相続税がかかる基準:「基礎控除」を理解する
基礎控除額の計算式
相続税は、遺産の総額が基礎控除額を超えた場合のみ発生します。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数によって、基礎控除額は変わります:
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
法定相続人とは誰か
法定相続人とは、法律上相続する権利がある人のことです。以下の順位で決まります:
- 配偶者:常に相続人(死亡していなければ)
- 第1順位:子ども(子どもが先に亡くなっている場合は孫)
- 第2順位:親(父・母)←子どもがいない場合
- 第3順位:兄弟姉妹(親もいない場合)
相続放棄した人も「法定相続人の数」に含める
相続放棄をした人がいても、基礎控除計算上の「法定相続人の数」には含めます。ただし、実際の税額計算では放棄した人は除外されます。
遺産総額の計算:プラスの財産からマイナスを引く
相続税の対象になる財産
- 現預金(銀行口座・タンス預金)
- 不動産(土地・建物)→ 路線価または固定資産税評価額で評価
- 有価証券(株式・投資信託・国債等)
- 生命保険金(一部は非課税)
- 死亡退職金(一部は非課税)
- 貴金属・美術品・ゴルフ会員権など
差し引けるマイナスの財産
- 借入金・住宅ローン残高
- 未払いの医療費・税金
- 葬儀費用(通夜・告別式・火葬・納骨の実費。ただし香典返しは除く)
生命保険金・死亡退職金の非課税枠
生命保険金と死亡退職金は、それぞれ以下の非課税枠があります:
非課税額 = 500万円 × 法定相続人の数
例えば法定相続人が3人なら、生命保険金のうち1,500万円まで相続税がかかりません。
相続税がかかるかどうかの確認例
具体例①:配偶者と子ども2人のケース
【状況】父が死亡。相続人は母・長男・長女の3人。遺産は自宅(評価額3,000万円)+ 預貯金2,000万円 = 合計5,000万円。
- 基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
- 遺産総額5,000万円 − 基礎控除4,800万円 = 課税遺産総額200万円
- → 相続税の申告が必要(ただし配偶者控除を使えばほぼゼロに)
具体例②:子ども1人のみのケース(配偶者なし)
【状況】父が死亡。母は既に死亡。相続人は長女1人。遺産は自宅(評価額2,000万円)+ 預貯金500万円 = 合計2,500万円。
- 基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 1人 = 3,600万円
- 遺産総額2,500万円 < 基礎控除3,600万円
- → 相続税はかからない
相続税の税率
相続税は、課税遺産の金額に応じた累進課税です(2015年1月以降の税制):
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
参考:国税庁:相続税の税率
相続税を減らす主な特例
配偶者控除(配偶者の税額軽減)
配偶者が相続した財産は、「1億6,000万円」または「法定相続分」のどちらか多い金額まで非課税になります。配偶者がいる場合、多くのケースで相続税はかかりません。
小規模宅地等の特例
被相続人が住んでいた自宅の土地(330㎡まで)を一定の要件を満たす相続人が取得した場合、評価額が80%減額されます。例えば、路線価2,000万円の土地なら400万円に圧縮されます。詳細は「実家の相続はどうする?」で解説しています。
未成年者控除・障害者控除
相続人が未成年・障害者の場合、税額から一定額が控除されます(未成年者控除:18歳までの年数 × 10万円など)。
相続税の申告・納付
申告期限
相続税の申告・納付期限は相続の開始を知った翌日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎると、延滞税・無申告加算税が課されます。
申告が必要かどうかの判断フロー
- 法定相続人の数を数える
- 基礎控除額を計算(3,000万円 + 600万円 × 人数)
- 遺産総額(プラス財産 − マイナス財産 − 葬儀費用)を計算
- 遺産総額 > 基礎控除額 → 申告必要
- 遺産総額 ≦ 基礎控除額 → 申告不要(ただし小規模宅地等の特例等を使う場合は要申告)
税理士への依頼費用
相続税の申告を税理士に依頼する場合、遺産総額の0.5〜1%程度の報酬が目安です(遺産1億円なら50〜100万円程度)。基礎控除以下でも申告が必要な場合(小規模宅地等の特例利用など)は、相続専門の税理士に依頼することをおすすめします。
まとめ
相続税は「お金持ちだけの問題」ではありませんが、かといって全員に関係があるわけでもありません。まず基礎控除額を計算して、自分の状況が申告必要かどうかを確認することが第一歩です。
義祖母の場合も計算してみたところ、基礎控除内に収まることがわかり、「相続税の心配はほとんど不要」という結論になりました。まず計算してみることで、漠然とした不安が消えます。
相続手続き全体の流れは「相続手続きの流れと期限一覧」で確認してください。
