喪中・忌中

ペットが亡くなったら喪中になるのか?年賀状や初詣の扱いと供養の考え方を解説

木田健太郎

十数年ともに暮らした犬や猫を見送ったあと、ふと年賀状の準備をしながら手が止まる。家族と同じように悲しいのに、これは喪中と呼んでいいのだろうか。お祝いの席に出てもいいのだろうか。初詣には行けるのだろうか——。

人が亡くなったときのマナーは調べればいくらでも出てきますが、ペットの場合はそもそも決まりが存在しないため、どこにも答えが載っていません。周りに聞いても「ペットでしょう」と軽く流されてしまいそうで、相談しづらいという声もよく聞きます。

結論をお伝えします。ペットが亡くなっても、社会的なしきたりとしての喪中にはあたりません。年賀状も初詣もお祝いの席も、控える必要はありません。ただしそれは「悲しんではいけない」という意味ではまったくなく、喪に服すかどうかはご自身の気持ちで決めてよいというのが実際のところです。

この記事では、形式としてのルールと、ご自身の気持ちの整理を分けて考えられるように、場面ごとの扱いを整理します。

ペットの死は「喪中」にはあたらない

喪中は人の親族を対象にした習慣

喪中とは、身内が亡くなったときに一定期間お祝いごとを控える習慣です。その範囲は一般に二親等までの親族が目安とされ、対象になるのは人の死に限られます。

ペットは法律上も慣習上もこの範囲に含まれないため、ペットを亡くしたことを理由に喪中とする決まりはありません。年賀状を控えなければならない義務も、お祝いの席を断らなければならない義務もありません。

ただし「喪に服してはいけない」わけでもない

一方で、喪中にしてはいけないという決まりもありません。家族同然に過ごしてきた相手を亡くして、しばらく気持ちが晴れないのは自然なことです。

ペットを亡くした年の年末年始

控えなくてよい
  • 年賀状
  • 初詣・神社への参拝
  • 結婚式などお祝いの席
気持ちで選んでよい
  • 年賀状を寒中見舞いに切り替える
  • 四十九日や一周忌の供養
  • しばらく静かに過ごす
避けたほうがよい
  • ペットを理由に喪中はがきを出す

実際、ペットを見送ったあとに自分なりの喪の期間を設け、静かに過ごす方は少なくありません。形式としての喪中ではなく、気持ちの整理としての喪の期間と考えると、判断がしやすくなります。

「決まりがない」ことがかえって苦しいときは

人の葬儀には、通夜、四十九日、一周忌といった区切りがあります。こうした節目は、遺された人が少しずつ気持ちを整理するための仕組みでもあります。

ペットの場合はその枠組みがないため、悲しみの置きどころが分からなくなることがあります。四十九日にあたる日に手を合わせる、月命日に花を供えるなど、ご自身で区切りをつくることは、供養としても気持ちの整理としても意味があります。

年賀状はどうするか

ペットを亡くした年の年賀状

年賀状の準備をする時期になった
例年どおり年賀状を書けそう?
書ける

年賀状を出してよい写真入りなら「虹の橋を渡りました」と一言添えても
気持ちが向かない

寒中見舞いに切り替える松の内明け(1月8日ごろ)〜2月3日ごろ
喪中はがきは人の不幸と受け取られるため、出さないのが基本です

喪中はがきは出さないのが基本

ペットを亡くしたことを理由に喪中はがきを出すのは、避けたほうが無難です。

喪中はがきは「身内に不幸があったため新年の挨拶を控えます」と伝えるものなので、受け取った相手は人が亡くなったと受け取ります。お悔やみの連絡をくれたり、香典を用意してくれたりする方が出てくると、相手にも気を遣わせてしまいます。

年賀状を出したくないときは寒中見舞いに切り替える

とはいえ、気持ちが沈んでいる時期に「あけましておめでとう」と書くのがつらいという方もいると思います。その場合は、年賀状を出さずに、松の内が明けてから寒中見舞いを送る方法があります。

寒中見舞いは季節の挨拶状なので、お祝いの言葉を使わずに近況を伝えられます。理由を細かく説明する必要はなく、「昨年は年始のご挨拶を控えさせていただきました」程度で十分です。

年賀状と寒中見舞いの時期や書き方については「喪中に年賀状が届いたらどうする?寒中見舞いの返し方と相手別の文例を解説」も参考にしてください。

ペットの写真入り年賀状を毎年出していた場合

愛犬や愛猫の写真で年賀状を作っていたご家庭では、その年の年賀状をどうするか悩むところです。

  • 生前の写真を使い、「昨年〇月に虹の橋を渡りました」と一言添える
  • 写真は使わず、シンプルなデザインに変える
  • その年だけ年賀状を控え、寒中見舞いにする

どれを選んでも失礼にはなりません。事情を知っている友人には写真入りで報告し、仕事関係にはシンプルなものを出す、という使い分けをする方もいます。

初詣・お祝いの席はどう考えるか

神社の参拝に制限はない

神道では人の死を穢れととらえ、忌中の間は神社への参拝を控えるという考え方があります。ただしこの作法が対象としているのは人の死であり、ペットの死は同じようには扱われません。

そのため、初詣も厄払いも、通常どおり参拝して差し支えありません。人の忌中・喪中と神社参拝の関係については「忌中と喪中で初詣に行くルールはどう違うか?参拝できる場所と注意点を解説」で解説しています。

結婚式やお祝いの席も出席して問題ない

友人の結婚式、家族の祝い事、職場の歓送迎会など、いずれも辞退する理由にはなりません。

ただし、気持ちがついていかないときに無理をする必要もありません。どうしても出席がつらい場合は、ペットのことを理由にせず「体調が優れないため」と伝えて辞退しても構いません。ペットを亡くしたことを理由に説明すると、相手によっては軽く受け取られてしまい、かえって傷つくことがあるためです。

仕事は忌引きの対象になるか

忌引き休暇は、就業規則で対象となる親族の範囲が決められているのが一般的です。ペットは対象に含まれないことがほとんどなので、休む必要があるときは有給休暇を使うことになります。

近年は「ペット忌引き」として特別休暇を設ける企業も少しずつ出てきていますが、まだ一般的ではありません。就業規則を確認するか、総務に問い合わせてみてください。

ペットの供養とお別れの区切り

火葬・埋葬の選択肢

ペットを見送る方法には、主に次のような選択肢があります。

方法 内容
個別火葬 一頭ずつ火葬し、遺骨を返してもらえる。立ち会える場合もある
合同火葬 他のペットと一緒に火葬し、霊園に合祀される。遺骨は戻らない
ペット霊園への納骨 個別墓や納骨堂に納める
自宅での供養 骨壺を自宅に置き、写真や花とともに手を合わせる
自治体への依頼 費用は抑えられるが、遺骨は戻らないことが多い

費用や対応は地域や業者によって幅があります。自宅の庭に埋める場合は、深さが足りないと衛生面の問題が生じるほか、土地の条件によっては適さないこともあるため注意が必要です。

四十九日や一周忌を行ってもよい

ペットのために四十九日や一周忌の法要を行う方もいます。ペット霊園で合同供養祭を開いているところもありますし、自宅で家族だけで手を合わせる形でも構いません。

決まった作法はないので、ご自身が気持ちを整理できる形を選べば大丈夫です。

人のお墓に一緒に入れるか

ペットと同じお墓に入りたいと考える方は増えていますが、受け入れは霊園や寺院の方針によって異なります。ペットとの共葬を認める区画を設けている霊園もあれば、認めていないところもあります。

将来そうしたいと考えている場合は、生前のうちに霊園に確認しておくと安心です。

周囲との関わりで気をつけたいこと

理解されないことを前提にしておく

ペットを飼ったことがない人にとって、その悲しみの深さは想像しにくいものです。悪気なく「また新しい子を飼えばいい」と言われて、深く傷ついたという話は本当によく聞きます。

そうした言葉は、慰めようとして出てきたものであることがほとんどです。分かってもらえないのが普通と考えて、話す相手を選ぶほうが、余計に傷つかずに済みます。同じようにペットを見送った経験のある人には、驚くほど話が通じるはずです。

知人のペットが亡くなったときにかける言葉

反対に、友人や同僚のペットが亡くなったと聞いたときは、次の点に気をつけると相手を傷つけずに済みます。

  • 避けたい言葉:「また飼えばいい」「たかがペット」「寿命だから仕方ない」「もう年だったしね」
  • 伝えてよい言葉:「つらかったね」「〇〇ちゃん、かわいかったね」「大事にされて幸せだったと思うよ」

無理に励まそうとせず、名前を呼んで一緒に思い出すことが、相手にとっては何よりの慰めになります。お供えを贈る場合は、お花やお菓子など、気を遣わせない程度のものが適しています。

子どもへの伝え方

子どもにとっては、身近な存在の死に初めて触れる経験になることもあります。「遠くに行った」「旅に出た」といった曖昧な表現は、かえって混乱を招くことがあるため、年齢に応じて、死んでしまったことを正直に伝えるほうがよいとされています。

お別れの場に立ち会わせる、一緒に花を供えるなど、見送る過程に参加してもらうことが、子どもなりの区切りにつながります。

よくある疑問

ペットロスがつらくて日常生活に支障が出ている

食欲がない、眠れない、涙が止まらないといった状態が数週間以上続く場合は、無理に気持ちを立て直そうとせず、専門家に相談してください。心療内科やカウンセリングのほか、ペットロス専門の相談窓口もあります。

悲しみの大きさは、その子と過ごした時間の深さのあらわれです。おかしなことではありません。

ペットの訃報を人に知らせるべき?

人の訃報のように広く知らせる必要はありません。よく遊びに来ていた友人や、散歩仲間など、その子を知っている相手にだけ伝えれば十分です。

喪中の人がペットも亡くした場合は?

人の身内を亡くして喪中の期間中に、ペットも見送ることがあります。この場合の喪中の扱いは、あくまで人の死を基準に判断します。喪中はがきにペットのことを書き添える必要もありません。

まとめ

  • ペットの死は、社会的なしきたりとしての喪中にはあたりません。年賀状・初詣・お祝いの席を控える必要はありません
  • ただし喪に服してはいけないという決まりもなく、気持ちの整理としての喪の期間は自由に設けて構いません
  • ペットを理由に喪中はがきを出すのは避ける。相手が人の不幸と受け取り、気を遣わせてしまうためです
  • 年賀状を出したくないときは、寒中見舞いに切り替える方法があります
  • 忌引き休暇の対象になることはほとんどないため、休むなら有給休暇を使います
  • 四十九日や一周忌を行っても構いません。決まった作法はなく、区切りの付け方は自由です

ルールがないということは、裏を返せば、あなたがその子をどう見送るかを自分で決められるということでもあります。世間の形式に合わせる必要はありません。ご自身とご家族が納得できる形で、ゆっくりお別れの時間を持ってください。

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家族の終活ノート
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義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
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