葬儀・お墓

墓じまいの手続きと流れは?改葬許可申請の必要書類と散骨する場合の注意点を解説

墓じまいの手続きと流れは?改葬許可申請の必要書類と散骨する場合の注意点を解説
木田健太郎

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実家から遠い場所にあるお墓。年に一度のお参りも難しくなってきたし、継ぐ人もいない。「そろそろ墓じまいを考えないと」と思っても、何から手をつければいいのか、役所で何を出せばいいのか、わからないことばかりです。

結論をお伝えします。墓じまいは、①親族の合意、②改葬先の決定、③お寺・霊園への相談、④役所での改葬許可申請、⑤閉眼供養と墓石の撤去、⑥新しい納骨先への納骨、の順に進めます。全体で半年〜1年ほど見ておくと安心です。手続きのカギは、役所が発行する「改葬許可証」。これがないと、遺骨をお墓から動かすことはできません。散骨を考えている場合は、改葬許可が必要かどうかが自治体によって違うので、早めに役所へ確認しましょう。

この記事では、手続きの流れと必要書類、遠方のお墓の場合の進め方、散骨する場合の注意点を順に整理します。費用や離檀料については、墓じまいの費用はいくら?離檀料の相場とトラブルで詳しくまとめています。

結論:墓じまいの手続き 早見表

ステップ やること 相手・もらう書類
① 親族の合意 墓じまいすること、改葬先、費用分担を決める 親族
② 改葬先を決める 樹木葬・納骨堂・合祀墓・散骨などから選ぶ 改葬先 → 受入証明書
③ お寺・霊園に相談 墓じまいの意向を伝え、日程や石材店を確認 今の墓地の管理者 → 埋葬証明書
④ 改葬許可申請 今のお墓がある市区町村に申請する 役所 → 改葬許可証
⑤ 閉眼供養・撤去 魂抜きの供養をし、遺骨を取り出して墓石を撤去 お寺・石材店
⑥ 納骨 改葬先に遺骨を納める 改葬先に改葬許可証を提出

墓じまいの流れと期間の目安

  1. 半年〜1年前親族で話し合い、合意する誰が申請者になり、費用をどう分けるかも決める
  2. 5〜6か月前改葬先(新しい納骨先)を決める受入証明書をもらう
  3. 4〜5か月前お寺・霊園に墓じまいを相談する埋葬証明書をもらう。石材店の指定も確認
  4. 2〜3か月前役所に改葬許可を申請する改葬許可証がないと遺骨を動かせない
  5. 当日閉眼供養・遺骨の取り出し・墓石の撤去改葬許可証を墓地の管理者に見せる
  6. 撤去後改葬先に納骨する改葬許可証を改葬先に提出する

墓じまいとは?法律上は「改葬」にあたる

墓じまいとは、今あるお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して墓地を管理者に返すことです。取り出した遺骨を別のお墓や納骨堂などに移すことを、法律(墓地、埋葬等に関する法律)では「改葬」といい、今のお墓がある市区町村の許可が必要になります。

厚生労働省の統計では、改葬の件数は2024年度に約17.6万件と、統計を取り始めてから最も多くなっています。お墓を継ぐ人がいない、遠くてお参りに行けないといった理由で、墓じまいを選ぶ家族は年々増えています。

墓じまいの手続き 6つのステップ

① 親族で話し合い、合意する

最初にして、いちばん大切なステップです。「先祖代々のお墓をなくすなんて」と感じる親族もいるので、決めてから伝えるのではなく、決める前に相談するのが鉄則です。

話し合っておきたいのは、次の4点です。

  • 墓じまいをする理由(継ぐ人がいない、遠くて管理できないなど)
  • 遺骨の行き先(改葬先)
  • 費用を誰がどう負担するか
  • 誰が申請者になるか(一般的にはお墓の名義人=墓地の使用者)

② 改葬先(新しい納骨先)を決める

改葬許可の申請には、新しい納骨先が発行する「受入証明書」(使用許可証などで代わりにできる場合もあります)が必要です。そのため、役所に行く前に改葬先を決めて契約しておきます。

主な選択肢は、樹木葬、納骨堂、合祀墓(永代供養墓)、新しい一般墓、散骨、手元供養です。それぞれの費用と特徴は、お墓の種類と費用を徹底比較で解説しています。

③ お寺・霊園の管理者に相談する

今のお墓の管理者(お寺や霊園)に、墓じまいの意向を伝えます。お寺の場合は檀家をやめる(離檀する)ことにもなるので、これまでのお礼を伝えつつ、管理が難しくなった事情を丁寧に説明しましょう。

ここで、遺骨がそのお墓に納められていることを証明する「埋葬証明書(埋蔵証明書・収蔵証明書)」を発行してもらいます。役所の申請書の欄に、管理者が署名・押印する形の自治体もあります。寺院墓地では工事できる石材店が決まっていることが多いので、あわせて確認しておきます。

④ 役所に改葬許可を申請する

書類がそろったら、今のお墓がある市区町村の担当窓口(環境課・市民課など)に改葬許可を申請します。

必要な書類 どこでもらう
改葬許可申請書 市区町村の窓口・ホームページ
埋葬証明書(埋蔵証明書) 今のお墓の管理者(お寺・霊園)
受入証明書 新しい納骨先
墓地使用者の承諾書 申請者と墓地の名義人が違う場合のみ
申請者の本人確認書類 運転免許証など

2026年4月から、国の省令改正で申請書の記載事項が一部見直されています。様式は必ず今のお墓がある自治体の最新のものを使いましょう。

申請書は遺骨1体ごとに必要な自治体が多いので、お墓に何人分の遺骨が納められているかを事前に確認しておきましょう。手数料は無料〜数百円程度です。書類に不備がなければ、「改葬許可証」が発行されます。

⑤ 閉眼供養をして、遺骨を取り出し、墓石を撤去する

お寺の住職に閉眼供養(魂抜き)をしてもらい、石材店が遺骨を取り出して墓石を撤去します。遺骨を取り出すときには、墓地の管理者に改葬許可証を見せるのが一般的です。工事は数日で終わり、更地にして管理者に返します。

長年お墓に納められていた遺骨は、水が入って汚れていることもあります。改葬先によっては、洗浄や乾燥、粉骨をしてから納めることもあるので、石材店や改葬先に相談しましょう。

⑥ 新しい納骨先に納める

取り出した遺骨を改葬先に運び、改葬許可証を提出して納骨します。必要であれば、改葬先で開眼供養(魂入れ)や納骨法要を行います。これで墓じまいは完了です。

散骨する場合の手続きと注意点

遺骨の行き先で変わる手続き

お墓から遺骨を取り出す
遺骨をどこへ移す?
別のお墓・納骨堂・樹木葬

受入証明書をもらって改葬許可を申請もっとも一般的な流れ
散骨する

改葬許可が必要か役所に確認粉骨と散骨は専門業者へ。自治体ごとに扱いが違う
一部を手元に残す

残りの行き先に合わせて申請手元供養する分も、取り出す前に役所へ相談を

散骨には全国共通の届け出制度がない

散骨は、法律で直接定められた手続きがありません。散骨そのものに届け出や許可が要らない、としている自治体もあります。一方で、お墓から遺骨を取り出す段階では、墓地の管理者から改葬許可証を求められることが多く、散骨を予定している場合に改葬許可を出すかどうかは自治体によって扱いが違います。

散骨を考えているなら、今のお墓がある市区町村の担当窓口に「散骨する場合の手続き」を先に確認しておくのが確実です。散骨業者に、これまでの自治体での対応を聞いてみるのも参考になります。

散骨は専門業者に頼むのが安心

散骨するときは、遺骨を2mm以下の粉末にする「粉骨」が必要です。また、自治体によっては条例で散骨できる場所を制限していることもあります。海洋散骨などを扱う専門業者に依頼すれば、粉骨から散骨までまとめて任せられます。全部を散骨せず、一部を手元供養や合祀墓に残す家族もいます。

業者を選ぶときは、家族が船に乗って見送れるか、遠方でも頼めるか(スタッフが代わりに散骨する「代理散骨」があるか)、粉骨の費用が料金に含まれるかを確かめておくと比べやすくなります。たとえば海洋散骨のシーセレモニーは、東京湾・横浜・相模湾を中心に、乗船して見送る散骨と代理散骨の両方を扱っています(運営会社の発表)。費用や対応できる海域は、問い合わせて確認してください。

遠方のお墓の場合の進め方

改葬許可の申請は郵送できることが多い

お墓が遠方にあって何度も通えない場合でも、改葬許可の申請は郵送で受け付けている自治体が多くあります。申請書をホームページからダウンロードし、返信用封筒を同封して送る形です。事前に電話で、郵送の可否と必要書類を確認しておきましょう。

手続きの代行を頼むこともできる

お寺とのやり取りや役所の書類作成が負担なら、石材店や、墓じまいを扱う行政書士に代行を頼む方法もあります。代行費用はかかりますが、現地に行く回数を減らせます。

墓じまいの費用はどのくらい?

費用は、墓石の撤去費、閉眼供養のお布施、お寺へのお礼(離檀料)、新しい納骨先の費用の合計で、総額30万〜100万円前後が一つの目安です。改葬先を合祀墓にすれば抑えられ、都市部の納骨堂や新しい一般墓を選ぶと高くなります。

項目ごとの相場や、高額な離檀料を求められたときの対処は、墓じまいの費用はいくら?離檀料の相場とトラブルで詳しく解説しています。

よくある疑問

墓じまいにどのくらい時間がかかる?

親族の話し合いから納骨まで、半年〜1年ほどが目安です。時間がかかるのは、役所の手続きよりも、親族やお寺との話し合いと改葬先選びです。お盆やお彼岸の前後は石材店が混み合うので、工事の時期は早めに押さえておきましょう。

お墓に誰の遺骨が入っているかわからない

古いお墓では、何人分の遺骨が納められているかわからないこともあります。お寺の過去帳や霊園の記録で確認できることがあるので、まず管理者に相談しましょう。名前がわからない遺骨の申請方法も、役所の窓口で教えてもらえます。

墓じまいをしても、永代使用料は戻ってくる?

墓地の「永代使用料」は土地を使う権利の代金なので、墓じまいをしても基本的に戻ってきません。墓石を撤去して更地にして返すのが一般的です。

手続きの詳しいことはどこで確認できる?

改葬の手続きは、墓地、埋葬等に関する法律に基づいて各市区町村が行っています。制度の概要は厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」で確認できます。実際の書類や窓口は、今のお墓がある市区町村のホームページで確認してください。

まとめ

墓じまいの手続きのポイントを整理します。

  • 流れ:親族の合意 → 改葬先の決定 → お寺・霊園に相談 → 改葬許可申請 → 閉眼供養と撤去 → 納骨
  • 期間:半年〜1年が目安。時間がかかるのは話し合いと改葬先選び
  • 必要書類:改葬許可申請書・埋葬証明書・受入証明書。申請書は遺骨1体ごとに必要なことが多い
  • 散骨する場合:改葬許可の扱いが自治体で違うので、今のお墓がある市区町村に先に確認する
  • 遠方のお墓:郵送で申請できる自治体が多い。石材店や行政書士への代行も選べる

墓じまいは、ご先祖のお墓を次の世代に負担として残さないための、前向きな選択です。手続きそのものは順番どおりに進めれば難しくありません。いちばん大切なのは、親族とお寺に早めに相談し、気持ちよく見送れる形をみんなで決めることです。

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義祖母が2024年に90歳を迎えたことをきっかけに、相続・後見・葬儀を家族で一から調べ始めました。最初は「相続税ってそもそもいくらから払うの?」というレベルで、法務局に電話して手続きを確認したり、銀行の窓口で口座凍結の話を聞いたりしながら少しずつ知識を積み上げました。弁護士でも税理士でもありませんが、「同じ状況の家族が調べたらこうなった」という記録として、費用・期限・手順を具体的に書くことを大切にしています。
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